「香取神宮」は関東地方を中心に全国にある香取神社の総本山、 元締めの偉容をまざまざと見せつけるかの如き 堂々たるお社を構えている。 ここは「団碁祭」の名のもとに お神酒ではなくお団子を備える祭りが有名で 参道の両側にはあちこちと「厄落とし団子」の看板が見られる。 その参道に沿って鳥居に向かって歩を進めている 途中ギクッとして一行の足が止まった。 「お団子おいしいよ」妙な声音ながら はっきりとした呼び込みの声である。 「誰だ?俺様を呼び止めたのは?」と、 声の方向を見やると、 小さな鳥かごに一羽の鳥が鎮座ましましている。 「喋った奴は、こいつか?この九官鳥か!!」。 一行が取り囲んだ籠の中から 「お団子おいしいよ」「こんにちは」実に愛想よく話しかけてくる。 小さな孫は完全に固まっている。 「一体全体何が起こった?鳥が喋っている??」。 5歳、3歳の孫二人にとっては 全く解せぬことが起こったということなのだ。 九官鳥がインコ同様訓練すれば 多少の言葉を喋るという知識は 大人は持っているが小さな子供は有りようがない。 聞けば、この九官鳥、名前、 「九ちゃん」は三代目の御齢12歳、 子供たちが大好きで苦手なものは犬と猫とのことだ。 九官鳥の命名についてはかような話が伝えられている。 その昔、九官と名乗る中国人が鳥を持ち込んだとき 「この鳥は吾の名前を話す」と言ったのを、 鳥自身の名前と取り違えてのが名前の由来となっている。 孫たちは神社のお参りはどうでもよい。 九官鳥が気になって仕方がない。 参拝もそこそこに帰途、再び立ち寄った。 不思議なことに「お団子おいしいよ」は全く発せず、 「ばいばい」「ばいばい」の連呼だった。 参拝も終了、お団子を食べたお客には もう用はないということなのだろうか? まさか、そこまで飼いならせるわけはないが・・・・・・・。 さて、これからが5歳の孫娘との一問一答である。 孫:「あの鳥が本当に喋ったの?」 爺:「あー、そうだよ、鳥が人の言葉を喋るなんて不思議だね」 孫:「でも、あの鳥、本当の鳥なの?」 爺:「そうだよ、本当の鳥なんだよ」 孫:「どうして、本当の鳥って分かったの? どうしてあれが喋ったのか分かったの? どうして?どうして??」 爺:「???????」 さー、この質問にどう答えたら、 小さな子供は納得するだろうか? 虚を突かれて狼狽えているうちに妙な疑問が湧いた。 「あの鳥が本物の鳥であるかの証明は別にして、 本当にあの鳥が喋ったのだろうか?? 来たときは“こんにちは、お団子おいしいよ”、 帰るときは“ばいばい”。 どうにも話が 出来過ぎている。 横にいた店員がタイミングを見て、隠しボタンを押すと、 籠の中から声が出てくる仕掛けになってくるのではないだろうか?」 全く、大人ってやつは下手な考えに取りつかれるものでございます。 人をだます天才監督、「マスター・オブ・サスペンス」、 自他共に許したのがアルフレッド・ヒッチコック。 彼の最大の苦手が子供と言うのも理解できた瞬間であった。
by shige_keura
| 2016-02-10 22:43
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