2月某日の夕食、珍しや「アイスバイン」の登場である。
アイスバイン(Iisbein)とはドイツを代表する家庭料理と ガイドブック等には紹介されている。 しかしながら、ドイツ人は一般的に 夕食は、火(ガス、電気等)を使う料理を極力避けるので、 今日では家庭料理と言うより、 ビアホールをはじめとするレストランで味わうメニューだと思う。 調理方法は塩漬けの豚の脚を 野菜、香辛料でじっくりと煮込んだものである。 我が家の夕食を飾ったアイスバインは 娘が麻布十番の行きつけ「日進」で 冷凍の塩漬け豚肉を見つけ届けてくれたものだ。 「アイスバイン」を見ると遥か昔、 ドイツに出張したあのころが思い出されてくる。 時は、1976年の夏、丁度、カナダのモントリオールで オリンピックが開催されていた頃のことだった。 (デュッセルドルフ市内をバックに流れるライン川) 当時、デュッセルドルフにあった子会社のお手伝いとして ドイツ語も喋れぬ私が3か月間の出張を命じられたのだ。 (ナポレオンが小パリと言った市内のケーニッヒ大通り) 本当にお手伝いになるのか? 大いなる不安を胸に羽田へ向かった。 「機内の食事なんざー、旨かないよ」。 馴染みの居酒屋の主人が作ってくれたお弁当を 小脇に抱えていたということは、 お店から飛行場に直行したことになる。 全くあの時から何をやっていたのか???? 訳が分からない。 東京からドイツへの飛行ルートは アンカレッジ経由の懐かしくもあるが、 長い長い果てしない空の旅。 ハンブルグ経由デュッセルドルフ到着は昼をを回ったころ、 東京は夜も深まるころとなるので頭がボーっとして、 時折ウツラ・ウツラ、つらい時間を過ごしていた。 欧州はサマータイム、 全く暗くなる気配もないままに明るい夜を迎えたころに、 時差の関係か目が覚めてきた。 ならば、ドイツと言えばビールと言うわけで 夜の町、旧市街(アルト・シュタット)に案内された。 入ったのが老舗のビアレストラン・ユーリゲ(Zum Uerige)、 運ばれてきた皿を見て目を向いた。 骨付きの豚の脚肉がデーンと盛られ、 隣にはこれまたドイツ名物で私の苦手の ザワー・クラウト(キャベツの酢漬け)が添えられていた。 不味いとは言わないが、決して旨いとは思わなかったのは、 骨が飛び出た肉塊のインパクトが あまりにも強烈だったことによるものだった。 コクのあるビールは流石本場を思わせる味だったのだがが、 アイスバインの方は3か月の出張期間内に食べたのは2回だけだった。 何故、2回かと言うと、 初回は時差で正確に旨さを判定できなかったとの想いが 再チャレンジとなったわけだが、 それが結局最後になってしまった。 つまり、それほど食べたいと望むほどのものではなかった。 今回は日本の家庭料理となった 我が家のアイスバインのボリュームは本場と比べると1/5程度、 あっさり目の味付けは取り合わせの野菜との相性も良く あっという間に完食となった。 ブリ―とパルミジャーノ・チーズと ボルドーの赤ワインが華を添え充実感一杯の夕食となった。 落語の「目黒のサンマ」じゃないけれど アイスバインは我が家が一番、ということだ。 最後に、画像の奥に見えるスープに触れよう。 これは、野菜スープなのだが、 環境に優しい我が家の特製なのである。 普通ならば捨てる部分、例えばキャベツの芯、 玉ねぎの外側の皮、茄子・ピーマンのヘタ、 ニンジン、大根、カブの根元と外側の皮等々々・・・・・・、 これらを冷蔵庫に貯めて、一緒くたに煮たものである。 想像すればお分かりと思うが、 様々の野菜のエキスが滲み出て 「魔法のスープ」と呼んでも差し支えないほどに美味しい。 廃物利用もここまで徹底すれば 「見上げたもんだよ、屋根屋のフンドシ」である。
by shige_keura
| 2016-02-07 21:10
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