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区境の競馬場
東京23区内の面積最大を誇る大田区だが、
その昔は大森区と蒲田区に分かれていた。

合併したのは1947年になるが、
新たな区の名前の決定が紛糾し、
究極の妥協案である大森区の「大」と
蒲田区の「蒲」の字を貰って大田区となったと伝えられている。

2月13日快晴の日曜日、京急蒲田駅を出発し、
かつての区境を歩くユニークな町歩きに参加した。

2時間半ほどの行程の最後が池上線の
池上と蓮沼の中間点にかつて存在した
「池上競馬場」の跡地見学だった。
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「池上競馬場」の存続は僅か5年(1906~1910)、
跡地には区が設置した記念プレートがあるだけで
往時の面影は何処にも無い。
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しかしながら日本競馬史における
「池上競馬場」の存在は大変意義深いものがある。

その理由は二つある。

一つは、競馬場設立の後ろ盾となったのが、
日本初の競馬政府公認社団法人・「東京競馬会」があったということ。

もうひとつは、この競馬場で
日本人の経営によって初めて馬券が売られたということである。






ここで日本の競馬の歴史と共に
池上競馬場を振り返ってみよう。

江戸時代の後半、横浜の外国人居留地区で
日本に初めて競馬が紹介された。

その後、はっきりとした年代で分かっているのが
1866年(慶応2)に横浜の根岸で行われた。

このころの競馬は治外法権で行われていたこともあって
馬券も外人の手により発売されていた。

日本人が運営した初めての競馬が
1870年(明治3)靖国神社内の馬場で行われ、

その後、吹上御所、外山学校の馬場で開催されたが
馬券は発売されていなかった。

1900年代に入り全国の各地で
盛んに競馬が行われるようになっていったが
その主な目的は軍馬の育成だった。

当時日清・日露戦争で日本の軍隊は海を渡ったのだが、
そのとき日本の馬が外国の馬に比べ著しく劣っていたことが指摘された。

そこで着目されたのが競馬を通じて
日本の馬を品種改良することだった。

明治天皇の軍馬改良についての強い想いもあり
1906年「東京競馬会」が設立された。

その中心人物が陸軍から派遣された安田伊左衛門と
鹿児島県知事として馬に詳しく、
当時、大森に住んでいた加納久宣子爵だった。

               (池上競馬場完成記念絵葉書、右上の人物が加納子爵)
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尚、安田伊左衛門は近代競馬の父として日本の競馬会に貢献し、
その名前は現在のG1レース「安田記念」として記憶されている。

池上競馬場は1周1,600メートル(現在の大井競馬場とほぼ同じ)、
玉座を含む貴賓席と併せ、6,000人の観客席を備えた堂々たる競馬場だった。
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東京競馬会はイギリスにならって
競馬を上流階級のスポーツとしての品位を保つことを心掛けた。

その一つが乱れた服装の入場を禁じることでもあった。
               (池上競馬場で観戦する観客)
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又、初めて発売した馬券の金額にも高級志向が表れている。
               (勝馬関係者祝勝所)
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現在の馬券の最低購入単位が100円に対し、
池上が発売した馬券1枚の単価が10円、
今の貨幣価値に直すと10万円という途方もない金額だった。
               (当時の出馬表、1着賞金が現在の貨幣価値で700万円)
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当然のことながら一般庶民にとっては
手の届く額ではなかったので、皆で出し合って馬券を購入していたという。

馬券の発売は競馬人気に拍車をかけ、
馬券発売目的で競馬場が乱立したことで混乱を招くようになっていった。

そのため、1908年馬券発売は禁止となり
政府の補助金で池上は競馬開催を続行したが人気は低迷した。

その後、1910年に「東京競馬会」を含む各種団体が
「東京競馬倶楽部」として統一、
競馬開催も「目黒競馬場」に集中させることとなり
「池上競馬場」は閉鎖となった。
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しかし、わずか5年間とはいえ
「池上競馬場」が後の競馬会に果たした功績は大きい。

競馬を品位あるものとして格付けしたことは素晴らしいことであり、
それはレースの中に「帝室御賞典競走」を設けたことにも表れている。
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この競走は、今も行われている「天皇賞」の前身として
競馬史の中にひと際光り輝いている。
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by shige_keura | 2016-02-28 17:34 | | Comments(0)
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