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九州6泊7日 -人吉の名店ふたつ-
熊本市から車で南に小1時間ほど南に下る。

山間部に咲く山桜に見とれているうちに
山地に囲まれるようにした人吉盆地の中心、人吉に到着する。

市内中心には熊本県唯一の国宝である青井阿蘇神社がある。
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珍しい茅葺屋根の本殿に見入った後、
ふと目についたのが寄進の石塔に彫り込まれている一人の名前。
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そこに書かれているのは川上哲治、
ここは戦後のプロ野球に赤バットを引っ提げて
巨人の4番として大活躍した男の故郷である。
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人吉は清流・球磨川沿いにあるので米作りに適し、
米焼酎造りも昔から盛んである。

又、新鮮な川魚の宝庫でもあり、
隠れたる鰻の名店がここにある。
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その名前は「上村」、朝の10時過ぎから店を開け、
時分時には長蛇の列となる人気店だ。
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店内はこれぞ昔の人吉村の風情、
椅子席前の囲炉裏が興趣をそそる。
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ここの鰻は勿論、関西風、
すなわち腹開きした鰻を蒸さずにそのまま焼き上げる方式だ。

実際の所、私は鰻は断然の関東派、
蒸してトロッとした口当たりの良い鰻が大好物である。

「江戸っ子はなんてったって背開きよ! 
 腹開き?? 切腹なんて縁起でもねえ!!」。

と、今まで思っていたのだが、この店で考えを改めた。
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お重を開けると分厚い鰻が4 切れ、
更にご飯の間に2切れ、計6 切れの鰻が現れる。
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「しまった!ホテルで朝食を何でたくさん食べてしまったのか!」。

後悔しながら食べ始めると、何とすいすいとお腹に収まっていくではないか。

香ばしく焼き上がった鰻は
今までの関西風に感じていたシツコサはどこにも感じられない。

むしろ、関東風の鰻に比べすっきりとした味わいだった。
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店内には仲代達也さん、そして大先輩でもある故小沢昭一さんのサインもあった。
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小沢さんのサインは1971年、
丁度、飯塚の「果穂劇場」旗揚げ公演の時期と重なる。

無事、公演を終えた先輩は
ここで至福の一時を過ごされたのだろう。






何しろ、この店の名前が良い!「寿福酒造蔵」!!、
創業明治23年(1890)を誇る焼酎の蔵元である。
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この店は球磨焼酎街道と言う名前があるほどの
焼酎蔵元がひしめく地域で唯一の女性杜氏である。

               (寿福さんと秘蔵の焼酎、金5万円也)
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名前を絹子さん、寿福絹子、
名前を聞いただけで2,3本買ってしまう気になると思いませんか、男性諸氏。

入るとすぐに絹子さんが現れて炉端沿いに案内される。
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「コーヒー飲むよね、どこから来たと? あれ!東京から、それはそれは、
 私は50年前は丸の内でOLしてたんよ。
 給料少ないでしょ、そんでもって池袋で夜のバイトしたら
 “これ者”に騙されそうになっちまってさ、東京って怖かー!!って思ったね」。
               (こちらは1999年生大古酒、金5千円也)
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絹子さんの話は面白く
ずっと聞いていたいのだがそうもいかない。

「どうせ買うなら45度の一升瓶だよ、
 東京だって送れるから問題なか!」。

そっちに問題なかったって、
こっちの懐具合に問題あるとよ。

               (寿福酒造場のトレードマークともいうべき「武者返し」)
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焼酎の名前も「武者返し」、
熊本城独特の石垣の廂(ひさし)を表す言葉で名高いが、
ここの女将にかかっては世の男性は騙すどころか
引っくり返されてしまうだろう。

いやー実に面白く客あしらいが絶品である。

絹子さんの言葉は続く
「焼酎は我が子たい。
 発酵するときのブクブクという音は我が子の産声なんだから
 元気に健やかに育てねばいけんよ」。
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挙句、絹子さんの子供を3人も
いそいそと買う東京からの客があった。

しかし、熊本の人吉、「実によか所ばい!!」
by shige_keura | 2016-04-10 13:18 |
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