旧聞に属する話題だが、
今年の端午の節句はまさに五月晴れ、 風薫る中、青空を鯉のぼりが元気よく泳いでいた。 端午の節句になくてはならぬものは 鯉のぼりのほかに兜、武者人形、 食べ物で言えば柏餅に粽と色々ある。 ただ、重要なものにも関わらず、 忘れかけているのが菖蒲湯だと思う。 元来、端午の節句は別名菖蒲の節句と言われるほど 菖蒲が主役の厄払い行事であり、 菖蒲無くしては端午の節句は 成り立たないものであることを忘れてはならない。 端午の節句の歴史を紐解けば中国に その源をたずねることが出来る。 中国ではその昔の旧暦5月は病気が流行し 多くの人がこの世を去った。 その為、厄除けに菖蒲を門に挿したり、 菖蒲に浸した酒を飲んで無病息災を祈願した。 この風習が奈良時代に日本に伝わり、 我が国独自の端午の節句となっていった。 すなわち、武家社会に入ると 菖蒲は尚武に通じると言うことから、 逞しく男子が成長していくことを願う今日の節句の基本形となった。 鯉のぼりが躍るさまを見上げ、 兜等を飾り、粽、柏餅を食べるのも良いが 締めくくりにあるのが「菖蒲湯」である。 ただ、ここで基本的に間違えないでほしいのは 花菖蒲と菖蒲は全くの別物であることだ。 花菖蒲は紫色がお馴染みの美しい花を咲かせるアヤメ科の植物。 花は美しいのだが葉や茎には なんお香りもないし効能も無い。 従って花菖蒲の葉や茎を風呂に入れても何らご利益は無い。 一方の菖蒲はサトイモ科の植物で 花はガマの穂に瓜二つである。 花だけで比べれば菖蒲は花菖蒲とは勝負にならない。 しかし、菖蒲の葉には独特の芳香があり、 茎や根には血行促進、鎮痛作用を持っている。 つまり、「見た目の花菖蒲、中身は菖蒲」となる。 より良い香りと効果を得るためには 我が家のような給湯式風呂の場合は 最初から菖蒲を浴槽に入れてから 多少熱めのお湯を張るのが良い。 今年は残念ながら5月5日はとうに過ぎ去った。 来年は是非、菖蒲の湯で温まっていただきたい。
by shige_keura
| 2017-05-13 18:28
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