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思い出のプロ野球選手たち -2-
その選手のイメージ、
わたしに言わせれば
”傲岸”、”不遜”、”睥睨”の文字が相応しい。

しかし、その生意気な態度、仕草は
彼が持つ”反骨”と”任侠”に裏打ちされたものである。

東京六大学、立教の投手としての彼、
大学時代は全く目立たぬ選手だった。

神宮のマウンドに立った姿を
覚えている人は殆どいないのではないか。

それが、社会人、日本通運に入社3年目
突如彼の才能は開花する。

夏の都市対抗全国制覇
自分も橋戸賞を獲得したのを土産に
翌年読売ジャイアンツに入団した。

1960年の事である。

新人の年のスプリングキャンプ
大勢の選手を前にして
或る先輩選手にこう挨拶した。

この先輩選手は2年前に入団
新人から即レギュラー
新人王、首位打者、打点王に輝き
押しも押されぬ巨人の中心選手になっていた。

「おい、シゲ久しぶりだな」

呼ばれた選手は、プロでは2年先輩
御存知ミスター、長嶋茂雄
声を掛けた新人は立教では1年先輩
堀本律雄がその人である。

その年の巨人投手陣
エース藤田は肩の故障で多くを望めず
大リーグで学んだ堀内(庄)は伸び悩み、
中村稔、伊藤等の若手も不安定だった。

そして、活躍を期待された堀本も
オープン戦では芳しい成績は残せなかった。

ただ、彼はいくら乱打を浴びようが
新人らしからぬ悠然とした態度で
マウンド上で肩をいからせていた。

その年の開幕3連戦、
早くも第2戦に堀本は先発で登場する。

巨人の苦しい台所事情が
見て取れるようだ。



ところが堀本は予想を上回る成果を出した。

即ち、巨人の新人としては初めて
開幕シリーズ完投勝利投手となったのである。

それ以外にも堀本はこの年
巨人投手の新人記録を幾つも達成している。

例えば、勝利数29、敗戦18、防御率2.00
投球回数、364、2/3、完投、26、奪三振、210等である。

その結果、彼は新人王のみならず
沢村賞の栄誉にも浴することとなった。

この年、巨人は阪神の後塵を拝し2位で終わるが
もし、堀本が居なかったならば
更に悲惨な成績に終わっただろう。

しかしながら、堀本の選手寿命はわずか6年
生涯勝ち星も63勝と平凡な成績に終わった。

後年、当時阪急の大エース米田は
藤田と堀本についてこう語っている。

「藤田は高めに伸びのあるボールを放る
 素晴らしい速球投手や。
 堀本??、ありゃ並、普通の投手やで」

これが堀本の投手としての本質だったのだと思う。

上背は174センチ、プロとしては恵まれない。
目を剥くようなスピードボールは持っていない、
そうかといって変化球が特段素晴らしいわけではない。

それでは、何故、堀本は
新人の時に素晴らしい成績を上げられたのか???

基本的に彼は度胸の投手である。

打者として最も打ちにくい球、
それは内角胸元だ。

当然、投手もそこを衝きたい。

しかし、一つ手元が狂えば
ホームランボール
或いはデッドボールの危険を秘めている。

堀本は新人の時から
平然と打者をのけぞらせるような
えげつない内角球を放っていた。

そして時には、打者の打ち気の無さを見て取ると
ど真ん中に半速球を投げ込み
新人らしからぬ挑発した笑いを浮かべていた。

ただ、いかんせん球威不足のために
馴れてくると打ち込まれてしまうのだ。

だから、彼の成績は2年目以降急降下した。

彼の真骨頂は一発勝負で発揮される。

堀本2年目の日本シリーズ、
相手は南海ホークス。

下馬評では絶対的エース、スタンカを擁する南海が
圧倒的有利に立っていた。

大阪球場の第1戦、
案の定、0-6と巨人はスタンカの前に手も足もでない。

その2日前に日付を巻き戻そう。

場所は銀座、夕闇迫り来る頃
とある、バーにトレンチコートを着た男がふらりと入ってきた。

その年のペナントレースでは
不調に終わった堀本律雄である。

ストレートのダブルを一気に飲み干した彼は
「第2戦を見てろよ」の一言を残し
大阪に向かう為
風の如く東京駅へと立ち去った。
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第2戦、起死回生!
堀本の好投で巨人は蘇り1勝1敗に持ち込んだ。
c0135543_20592835.jpg

結果的に堀本はこのシリーズ3回登板
2勝を上げ、巨人日本一達成の原動力として
獅子奮迅の働きをした。

それから数年経った或る日、
場所は当時私が住んでいた逗子の駅。

前を歩いている、がっしりした男!!
もしや!!!!?????

やはり、堀本律雄その人だったのである。

すでに現役を引退した彼は逗子に居を構え
評論家生活を送っていたのだが
肩をそびやかし改札口に向う姿は
まさに後楽園のマウンドで
辺りを睥睨していた当時の姿そのままであった。

今の巨人の選手達に
堀本律雄の爪のアカでも飲ませたいと
思っている人は私だけではあるまい。
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by shige_keura | 2008-01-10 09:23 | スポーツ | Comments(0)
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