人気ブログランキング | 話題のタグを見る
Top
思い出のプロ野球選手たち -4-
今日紹介する選手の現役生活は12年。
短くはないが長いというものでもない。

ところがこの12年の現役生活中
彼は至難の業とされるホームスティールを
11回も記録している。

これは現在もプロ野球記録として残されている。

更に、1試合5安打通算5回は
プロ野球タイ記録だ。

極めつけはデビューの年
1イニング3盗塁!!!
普通では考えれぬ記録を達成した。

つまりヒットで1塁に出た彼は
矢継ぎ早に2盗、3盗
そして本盗を成功させたのだ。

これじゃ相手チームはやってられない。

たった一人にかき回され
おちょくられたようなものだから。

しかし、彼のプロ野球デビュー程
衝撃的なものはなかっただろう。

巨人の2塁を守っていたベテラン千葉茂は
当時をこのように述懐していた。

「あのプレーの瞬間から
 巨人の、いや、日本のプロ野球の歴史が変わった」
思い出のプロ野球選手たち -4-_c0135543_1736556.jpg

与那嶺要、通称ウオーリーがその人だ。

彼は1925年、ハワイのマウイ島生まれ、
サンフランシスコに渡り
フットボールのフォーティナイナーズで活躍していた。

ところが肩の大怪我でフットボールを断念
野球に転向しスリーAのシールズでプレー中
巨人関係者の目に留まり
戦後初の外人選手として
1951年シーズン中に日本にやってきた。



与那嶺は6月2日に来日、
打撃練習もしないで
6月19日、その日を迎えた。

場所は後楽園、相手は中日
マウンドには天敵ともいえる杉下が仁王立ちだ。

後半、巨人は杉下をとらえ
4-6と2点差に詰め寄る。

そして7回、無死1,2塁のチャンスを迎えた。

ここは犠牲バントで2,3塁
1打同点の局面を作りたい。

3塁コーチボックスから水原が出る
1塁ベンチの中を覗き込み
「ここでバントを決められる奴はおらんか?」

「I try」それが与那嶺の返事だった。

その直後、日本プロ野球界が
今まで見たこともなかった
絶妙なセーフティバンドが3塁線に転がり
打者、走者オールセーフとなったのだ。

それ以降、与那嶺は
日本プロ野球の塁間を
風の如く走り回った。

時にはスライディングする足で
相手のグラブ、ミットを蹴上げて落球させる
守備妨害すれすれのプレーまで披露した。

基本的には温厚なクリスチャン
毎日曜日には教会で礼拝を欠かさぬ与那嶺からは
考えれぬ激しいプレーだった。

アメリカ、メジャーの本格的走塁を
日本に初めて持ち込んだのが与那嶺だった。

その温厚な彼が
ライバル心をむき出しに燃やした相手がいた。

ほかならぬ、チームの4番
川上哲治だった。

この時代、川上、与那嶺の
首位打者争いほど激しかったものはない。

1951年、53年と川上が首位打者を取る。

1954年は与那嶺が0.361の高率で首位打者に輝く。

1955年は負けじと川上が取り返すと、
1956、57年は与那嶺が連続首位打者となった。

この期間、二人以外で首位打者となったのは
1952年の中日、西沢のみである。

そして、このときも2位は与那嶺
3位は川上だったのだ。

このライバル心が炎の如き敵愾心に変わるのが
中日に与那嶺がトレードされた時だ。

嘘か誠か分らぬが
このトレードを推進したのが川上だと
与那嶺が思い込んだからだ。

中日トレード後、初の開幕試合
後楽園で行われた巨人戦
代打で起用された与那嶺は
ライトスタンドに決勝ホームランを叩き込んだ。

彼は立派な巨人OBとして
OB会メンバーに名を連ねている。

しかしながら、彼は川上がこの世にいる限り
OB会には出席せぬと決めている。

奥様の仕事の関係で
今でも頻繁に東京に来ているにもかかわらずだ。

与那嶺の生涯打率は.311、
僅かに2厘川上に及ばない。

ここでも二人は
火花を散らしている。

最後に与那嶺の人柄を表す話で終わりとしたい。
思い出のプロ野球選手たち -4-_c0135543_17364591.jpg

王貞治が子供の頃
後楽園の巨人戦を観戦した時
たった一人サインに応じてくれたのが
与那嶺要であったという。

その思い出が王貞治をして
出来る限りファンサービスに徹する
素晴らしいプロ野球人へと導いていった。
by shige_keura | 2008-02-04 08:59 | スポーツ
<< 大根と葱で・・・・、スパゲッティ!! 雪の日の豆撒き >>



2007年9月末にこちらに引っ越してきました。
→過去のブログを見る


ホームページ 



LINK 


LINK FREE

このブログの写真・テキストの無断使用はお断りします。

(c) 2007 shige_keura. All rights reserved.