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思い出のプロ野球選手 -13-
現代野球は打撃術が進歩し
言わば、投手受難時代となっている。

従って、投手としても打者を討ち取る為に
やたらと落ちるボールを連投する。

その典型がフォークボールで
初回からフォークの連投である。

ただ、スロービデオを見てみると
そのフォークボールが僅かに回転している。

これは、本当のフォークボールではない。

しかも、アナウンサーがよく言う言葉、
「フォークボールが落ちませんでしたね」

この表現は間違いだ。

その昔、カーブは落ちる球、
フォークは沈む球と言われていた。

これは、アメリカで
シンカー(沈む)の中に
フォークが含まれていたためだ。

回転するボール、落ちるボールは
フォークボールではない。

フォークは回転せず
打者の手元で消えるが如く沈む球だ。

だから、正真正銘のフォークは
唯一無二の”魔球”なのだ。

打撃の神様、川上哲治氏をして
「捕手の取れないボールを
 どうして打者が打てるんだ?」
と、ぼやかせた投手、

日本で本当のフォークボールを
最初に会得した人
杉下茂氏が本日の主人公である。
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昭和29年8月後半、
後楽園球場は鈴なりの観客で埋まった。

首位を走る中日、
僅かの差で追う巨人!

首位攻防、天下分け目の
ダブルヘッダー!!!!

この試合を1塁側2階席で見ていた私にとって
なんと杉下投手が憎たらしく思えたことか!!!
c0135543_10111353.jpg

巨人頼みの中軸、川上、与那嶺、千葉、
目も覆う程の切りきり舞いなのである。

ところが、この投手
下位の打者に打たれるのだ。

極めつけは投手の別所に
特大の本塁打を打たれた。

何で、投手が打てるのに川上が打てない??

そのわけは分った。

杉下さんはこの日
連投覚悟で登板した。

だから、彼の目からはヘボとしか思えぬ打者には
フォークどころか
手を抜いたボールしか放らなかったのだ。

このダブルヘッダー
巨人は追いつけそうで追いつけず、
結果は中日の連勝。
c0135543_1012173.jpg

その勢いでペナントを制した中日は
日本シリーズでも
西鉄を倒し日本一に輝いたのだった。

彼の顔、瓜のように長く
眼鏡をかけて、まさに”ヌーボー然”としている。
             (日本一となり僚友西沢選手と喜ぶ杉下さん
              二人とも顔の長さでは引けを取らない)
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ところが、この外見と裏腹に
杉下さんは誇り高く、
気難しい面があった。

彼はチームメートに良くこう言っていた。

「1点先に取ったら勝てるよ。
 でも、2点取ったら1点相手にやるかもね、
 勝ちゃいいんだから」

その杉下さんが
生涯で1度の計算違いをした。

同じ相手の巨人戦、場所は後楽園
代打の樋笠選手に、こともあろうに
代打、逆転、満塁、サヨナラホームランを打たれたのだ。

この時点で
プロ野球初の出来事だった。

ただ、樋笠選手は
変化球にはまるで手が出ない選手として聞こえていた。

杉下さんならば
フォークはおろかカーブでも投げれば
簡単に討ち取れたはずなのに
直球ばかりを続けたのが墓穴を掘った。

打った樋笠さん、試合後の談話でこう言った。

「杉下さんから見れば
 僕なんてまるでヘボ、
 変化球なんて勿体無くて
 投げて来ないと思っていたら
 案の定・・・・・」

熱狂する1塁側ベンチを尻目に
シャーシャーと顔色ひとつ変えずに
3塁側に引き揚げた杉下さん。

まさに、「誇り高き男」ここにありだった。

今、杉下さんは83歳、
高齢にもかかわらず
毎年、精力的に後輩の指導にあたられている。
c0135543_101334100.jpg

いつまでもお元気で
本当のフォークボールを
後輩達に教え込んで下さいませ。
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by shige_keura | 2008-05-15 08:44 | スポーツ | Comments(0)
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