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御三家の中の本家
日本が誇る代表的洋食、
それは”トンカツ”であることに
異論を挟む人はないだろう。

そのトンカツ屋の名店が
何故か上野に集中している。

御三家と言われる
”本家ぽん多”、”双葉”、”蓬采屋”をはじめ
”井泉”、”蘭亭ぽん多”、”平兵衛”、
”武蔵野”、”とん八亭”等々
やたらと数多い。

何故に上野に集中しているか???

これが色々調べても分らない。

私なりの苦しい理由付けは以下の通り。

日本の中心東京には
その昔から大きな玄関口が二つあった。

ひとつは東京駅で
いわば東京の表玄関。

一方の上野駅には
東京の裏玄関のイメージが付きまとう。

その昔、東京駅からは
流麗なる特急、”ツバメ”が颯爽と西に下る。

一方の上野駅はと言うと
うら寂しい汽笛を残して
夜汽車は一路寒村の東北に向う。
御三家の中の本家_c0135543_22382980.jpg

或いは、夜の闇が漸く白々とする頃、
集団就職、季節労働者の群れを乗せ
蒸気機関車は息も絶え絶え
上野駅に到着する。

あたかも、乗っている人々の
疲労が乗り移ったかのように。
御三家の中の本家_c0135543_22391142.jpg

上野駅から故郷に帰る人は
この機会に東京の味を
思い出としてとっておこう。

そして、上野駅に着いた人たちは
これからの厳しい生活に備え
東京の味を栄養として蓄えよう。

この場合、値段、味、ボリュームが重要であり
余りにハイカラすぎても
楽しく食べられない。

ならば、”トンカツ”をおいて他にはない!!!

そこで、上野にトンカツ屋が
繁盛したわけだ。

本当かい?????





さてさて、今まで上野で
トンカツを食べたことのなかった私、
このたび漸くにその機会を得た。

「これだけ店があると迷うだろう?」

「それが違うんだな。
 先ずはこの店に決まっているんだよ」

それは、”御三家の中の本家”

創業は明治38年、御三家の老舗中の老舗、
”本家ぽん多”をおいて他にはあるまい。

門構えはいかめしく入りづらい。
御三家の中の本家_c0135543_2240728.jpg

扉を開けると、
中には、朝青竜あるいは
菅原文太のようなお兄さんが
怖い顔して睨んでいるような気配がする。

それが、あにはからんや如才ない応対、
1,2階ともトンカツ屋にしては
上品な雰囲気に包まれている。
御三家の中の本家_c0135543_22411760.jpg

流石、宮内庁のコックを務めていた
創業者の伝統を今も受け継いでいるようだ。

一説によると、ウイーン風牛のカツレツ(ウインナシュニッツエル)を参考に
日本で初めて豚を油で揚げる
トンカツのルーツはこの店にあるとのことだ。

運ばれてきたトンカツ、
注目すべきはその色合いだ。

通常のトンカツが黄金色とすれば
”ぽん多”のそれはプラチナ色だ。

フライと言うよりか天麩羅を思わせる色は
私には若干頼りなく映った。

豚肉はロースのみ、
すこぶる肉厚、相当なるボリュームだ。
御三家の中の本家_c0135543_2242714.jpg

食べてみてまたまた驚く。

低温でじっくりと揚げた為だろう、
そのアッサリ感、軽さは特筆ものである。

御三家の中の本家_c0135543_2243218.jpg

ソースもウースターに似た薄めが合うし
塩で食べるのも乙なものだ。

今回は従弟と二人の
”弥次喜多道中”、
トンカツと穴子のフライを頼み
それぞれの味を楽しんだ。

御三家の中の本家_c0135543_22433363.jpg

この穴子も驚くべきボリュームなのだが
サクサク、ホクホク、
どんどん胃袋に吸い込まれて行く。

これだけフライを食べて
腹にもたれないと言うのも珍しい。

ちょいと値段は高めであるが
この世に、こんなトンカツもあったのかと
舌に胃袋に新しい一頁が加わることは請け合いだ。

「おい、ここまで来たからは
 日暮里で羽二重団子でも食っていくか」

これは、トンカツを食べた
2時間後の二人の会話である。
by shige_keura | 2008-06-25 08:49 |
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