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ローマの休日 2019 La dolce vita
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"La dolce vita", 「甘い生活」、
既に「道」「カビリアの夜」で名匠の地位を確立した
フェデリコ・フェリーニが1959年に世に送り出した話題作である。

時は1950年代、ローマ上流社会の堕落した生活と
モラルを失った現代人を、これまた退廃的な生活を送る
新聞記者(マルチェロ・マストロヤンニ演)の眼を通して描いた内容である。

カンヌ映画祭でグランプリを獲得はしたが
この作品の評価は分かれている。

174分にもなる映画にはこれといった筋があるわけではなく
ただひたすら、新聞記者を通じてのローマ富裕層の実態を追っかけている。

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その富裕層が最も集まる場所がべネト通りであり、そこには有名人を食い物にするパパラッチが群がっている。

今の日本で横行している盗み撮りで金を稼ぐ輩、
パパラッチの発祥の地がべネト通りともいえる。










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べネトのほかにもローマの各所が出てくる作品なのだが
その中でも名高いのがトレビの泉の場面である。
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一晩中、乱痴気騒ぎに明け暮れた夜明け、
ハリウッド女優のシルヴィア(アニタ・エクバーグ演)が
静まり返ったトレビの泉で水浴びをする場面である。

この泉は「ローマの休日」でアン王女が
ショートヘアに変身する美容院の場面にも登場してくる。

「ローマの休日」トレビの泉の撮影風景
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トレビの泉が今の形となったのが18世紀レメンス3世の命で
建築家、ニコラ・サルヴィの設計によるものだ。

中央に水をつかさどるネプトゥ―ネス、
左に豊穣の女神、ケレーヌ、右に健康の女神、サルースを配した泉、
滔々と流れ出る生命の水のエネルギーは何度見ても素晴らしい。
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「甘い生活」に戻るが、
私にとって退屈の部類に属す映画であったが
最後の場面からは強い衝撃を受けた。

記者のマルチェロは徹夜明け、すさんだ気持ちで海辺を散歩すると
波打ち際で奇怪極まりぬエイの死骸を見つける。
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どんよりとした目玉、異臭を放っている姿は
まさに現在の自分の生き写しではないか。

ふと目を上げると川の向こうに可憐な少女が立っている。
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彼女は口を開き、マルチェロに懸命に叫び続ける。
しかし、彼には一切聞こえてこない。

堕落しきった男は二度と少女が住む世界には帰れないのだ。

# by shige_keura | 2019-11-21 09:11 |
ローマの休日 2019 優雅なホテルとべネト通り
2019年、秋も深まった11月のローマ、
実に15年ぶりの訪問だ。

ホテルはべネト通り沿いのマジェスティック、
1889年ローマを代表する通り沿いに最初にできたホテルである。

設計者はGaetano Coch,
当時Prince of architectsの異名を奉られた俊英だ。
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落ち着きのあるロビー、通路の両側には
1970年代から1990年代までの写真が掲げられている。
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その中には訪れたハリウッドスターの写真がキラ星のごとく並んでいる。
エリザベス・テーラー、グレース・ケリー、オードリー・ヘップバーン、アニタ・エクバーグ、等々。

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部屋にはホテルからのプレゼントの赤ワイン、
実はこれが美味しくて町の惣菜屋で求めた生ハムと一緒に、
毎日の楽しみとなった。
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べネト通りはゆったりと幅広く街路樹が囲み、
マジェスティックを始めエクセルシオール、サボイ、
マリオット・グランド等の高級ホテルが軒を連ねている。
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                (ホテル エクセルシオール、ゲイリー・クーパーは常連客)

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                (エクセルシオールに到着したゲイリー・クーパー、1959年)


その中でもひときわ威容を誇っているのがアメリカ大使館、
通用門口は滞在ビザを申請する人の行列が絶えない。
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さてべネト通りが一躍その名を知らしめたのが
映画「甘い生活」、イタリアを代表する巨匠
フェデリコ・フェリーニの代表作だ。

この話は次に譲りたい。

# by shige_keura | 2019-11-19 10:08 |
急行列車2本
急行列車2本と言っても列車の名前は同じ、
歴史ある欧州の豪華長距離急行「オリエント急行」である。
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「オリエント急行」とくれば、これはもう、映画の話、
「オリエント急行殺人事件」の旧作(1974年)、新作(2017年)となる。

ただ、映画の話の前に、オリエント急行そのものと、
原作者アガサ・クリスティに触れてみたい。

「オリエント急行」は1883年、
トルコのイスタンブールとフランスのパリを結ぶ
特別長距離列車として走り始めた。

その後、起点~終点がフランスのカレー、ベルギーのオステンド、
ギリシャのアテネ、ルーマニアのブカレスト等々、鉄道網が広がったが、
今でもヨーロッパを代表する高級長距離列車だ。

推理小説「オリエント急行殺人事件」が書かれたのが1934年
舞台となる列車はシンプロン・オリエント急行で
イスタンブールを出発しトリエステ、ヴェネチア、ミラノ、
ローザンヌ、パリを経由してカレーが最終目的地となっている。
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また、この小説はミステリーの女王と言われた
アガサ・クリスティ―の14作目であり
急行列車の起点、イスタンブールの高級ホテル「ペラ・パレス」で執筆した。

今でも彼女が投宿した部屋は保存されており
数多くのファンが訪ねるという。
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「オリエント急行殺人事件」が最初に映画化されたのが1974年、
監督が「十二人の怒れる男」「女優志願」「セルピコ」「評決」等
秀作を次々と手掛けた社会派の雄、シドニー・ルメット。

そして豪華極まりのない配役が世間をあっと言わせた。
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アルバート・フィニーのエルキュール・ポアロ以下、
イングリッド・バーグマン、ショーン・コネリー、リチャード・ウイドマーク、
アンソニー・パーキンス、ローレン・バコール、ヴァネッサ・レッドグレーブ、
マイケル・ヨーク、ジャクリーン・ビセット等
とんでもない顔ぶれが勢ぞろいした。

手練れのシドニー・ルメットが名だたる人気俳優を見事に使いこなした作品は
バーグマンにアカデミー賞をもたらせ、全世界で大ヒットを記録した。

オリジナル作品(旧作)が名作であればあるほど
リメークするのはやりにくく勇気がいるものだが
現代だからこその風合いを見せた新作もなかなかに面白い。
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旧作が1974年、以来43年の月日が流れ
その間の映画の技術の進化がこの作品にまざまざと見て取ることが出来る。

その進化とは主に映像・音響であり、
この作品では通常のCGとは違って本物志向が感じられた。

モスクが立ち並ぶエキゾチックなイスタンブールを出発、
山間部に入りトンネルを抜けて雪山の世界に列車は入っていく。

観客はあたかもオリエント急行の一員になったかのように
シャンパンを飲み、美味しい食事をとりながら景色に映画に魅入られる。

勿論、このお話の主役は名探偵エルキュール・ポアロ。

アルバート・フィニーが演じた旧作のポァロを思い浮かべながら
ケネス・ブラナーが扮した名探偵を鑑賞するのも一興である。
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旧作は当時38歳のアルバート・フィニーが
これがフィニーかと驚くほどのメーキャップで一大変身、
変人ポアロをしつこいほどのアクの強さで演じたのが印象的だった。
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一方、新作のポアロはシェークスピア俳優で有名なケネス・ブラナー、
こちらはアクの強さでは一歩譲るが、
原作にあくまでも忠実なトレードマークの髭を売り物としている。
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どちらが好きかは映画ファンの嗜好によりけりだが
私には旧作のアルバート・フィニーの方がぴたりとくる。

# by shige_keura | 2018-01-14 11:02 |
七福神めぐり
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1月7日の朝食は勿論、「七草粥」、
セリをはじめとした青菜の入った粥が腹に優しい。

ベランダから覘く空は真っ青、
「七福神めぐり」には絶好の陽気だ。

なにしろ、孫が中学お受験だから
洋の東西を問わず、神という神にはひたすら祈願となる。

「七福神めぐり」は年々盛んになっており
都内だけでも30か所以上も存在しているらしい。
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今回選んだのは、「池上七福神」、
池上線の「池上」で下車、
先ず向かったのが本門寺とは逆の方角に位置する「曹禅寺」。
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この寺は福徳、円満、忍耐を授ける
弥勒菩薩の化身とされる布袋様を祀っており、
祠の中に安置された布袋尊像が
大きな腹を抱えてにこやかな笑みを浮かべている。
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今年も布袋様のような笑顔を絶やさずに過ごせたら最高だ。
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次なるは毘沙門天を本尊として祀る「微妙庵」、
無病息災の御利益だけに、ひたすら吾らの健康を祈願する。

ここでトラブル、次の目的地探しに時間を費やし、
通りかかったお蕎麦屋さんの出前の方に尋ねた。

「あー、馬頭観音堂ね。あそこ分かりにくいんだよね。
 迷うのも無理ないよ。すぐ近くだけど、今、工事中だよ」。

工事中の観音堂には大黒天が祀られているのだが、
現在ほかのお寺に引っ越し中。
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工事中の観音堂には鍵がかかり中には入れず
庭を野良猫が我が物顔に横切り人っ気は更になし。
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ここから先は池上本門寺の敷地近くに入っていく。
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ここは「本成院」、本門寺総門前の参道に位置し、
幸福と長寿を授ける福禄寿が祀られている。
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ガラス越しに収められている福禄寿と同じような
穏やかな老人の笑みを浮かべられたら良い。

ここで、「七福神」とは関係ないのだが
すぐお隣の「理境院」を覘く。

ここは慶応3年(1867年)
官軍参謀の西郷隆盛が東征軍を率いた時の宿舎。
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更には近くには隆盛と勝海舟の対談の地「松濤園」があり
大河ドラマの恩恵で、この付近は今年ブレークするのではないか。

「七福神めぐり」の次の目的地が「厳定院」
七福神唯一の女人神の弁財天を祀ってある。
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残りはふたつ、その一つが「妙見堂」、
池上の町を見下ろす高台にある小さなお堂は
長寿と学を授ける樹老人を祀ってある。
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孫のお受験に最も関わり合いのある神様
爺のお祈りも一際熱が入る。

尚、この神様は一般的に寿老人と表されていることが多いが
ここは樹の下で教えを説いたと伝えられていることに因み
「樹老人」の文字が書かれている。
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急な階段を下りると「養源寺」、
今回訪れた中で最も大きなお寺には
家庭円満、商売繁盛の恵比寿様と
一時的に引っ越した大黒様が祀られている。
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行程は約2時間、風が若干冷たさを増す中で
青空を背景に冬桜が満開。
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池上の寺町でお汁粉で一休み、
そのあと、梅屋敷の密かな鰻の名店「松本」に向かった。
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歩いて良し、食べて良しの一日だった。

# by shige_keura | 2018-01-11 08:58 | その他
初春の掘り出し物
例年通り、年末年始はTSUTAYAで何枚かのDVDを借りて
自宅で好きな時間にゆっくりと旧作を楽しんだ。

なかでも、今まで何故見なかったのか不思議な作品を
漸く観ることが出来て十二分に満喫した。

映画は「料理長殿ご用心」(1978年公開)。
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オリジナルタイトル、”Who is killing the Greatest Chefs of Europe”の通り、
欧州で名だたる三名の名シェフを殺したのは誰かというお話だ。

本作品はフランス、イタリア、アメリカ、ドイツ合作の
国際色豊かな作品だが、フランス・イタリアの味わいが出ているのが良い。

ロマンチック・ユーモア・サスペンスが全体のトーンなのだが
このような作品の場合、ヨーロッパの方が一層洒落た風味に仕上がっている。

舞台がロンドン~ヴェネチア~パリ欧州の香り豊かな街、
そして全編に溢れる料理のメニューはと言えば
鳩、ロブスター、鴨肉とくるのだから堪らない。
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食い正月で満腹となって料理は元来見たくないところなのだが、
フランス、イタリア料理となると話が違う。

頭の中は赤ワインとフォアグラ、仔羊、鴨等が次々と浮かんでくる。

そして、この映画の最大の成功要因は
渋く芸達者の役者を揃えていることだ。

決して超一流のスーパースターの名前は出てこないが
欧米の手練れが次々と画面に登場する。
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主役の女性シェフ、ナターシャにはジャクリーン・ビセット。

1968年、スティーブ・マックィーンの「ブリット」で初めて見たときは
決して目立ったところがない女優だった。
((
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それが10年も経た本作の1978年には
より洗練され、演技的にも飛躍的に上達した役者に成長した。
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料理雑誌編集長として登場はロバート・モーリー、
彼を始めてみたのが1950年代の「80日間世界一周」
その時から腹回りが更に大きくなった彼は
グルマン編集長として、まさにぴたりとはまっている。
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極め付きは、フランス人シェフとしての登場がフィリップ・ノワレ、
私の最も好きな映画、「ニューシネマ・パラダイス」で
トトが慕う映画技師として本編を盛り上げた俳優だ。
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更には、ジャン・ピエール・カッセル、ジョージ・シーガル、
ステファノ・サルタ・フローレス等々
観ていて安心の役者が次々と出ている。

肩の凝らない素敵な作品は正月休みにはまさにうってつけ!



# by shige_keura | 2018-01-09 15:54 |



2007年9月末にこちらに引っ越してきました。
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