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輝ける馬たち
私の競馬歴もかれこれ50年以上にもなる。

その長い歴史の中で私の目を虜とした3頭のサラブレッドが居る。

最初はスピードシンボリ、
当時としては初の有馬記念連覇(1969、70)を達成した馬である。
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3歳の皐月賞、ダービーは取るに足らぬ成績だったシンボリが
急遽脚光を浴びたのが菊花賞の時だった。

大本命ナスノコトブキ大楽勝と思われた淀の直線、
後方から矢のように伸びてきた脚色に満場は度肝を抜かれた。

長い長い写真判定の結果ハナの差で屈したとはいえ
シンボリの名前は大きくクロースアップされた。

翌年、アメリカジョッキークラブ杯、目黒記念、
天皇賞と3連勝した後シンボリは日経賞に出走してきた。

無敵シンボリ、ライバルは恐れをなしたのか
わずか5頭の淋しいレースとなった。

このとき、私は中山のパドックで
今や遅しとシンボリの登場を待ち焦がれていた。

黒鹿毛の彼を見たとき、その気品のある美しさ、
とりわけ、これが牡馬かと思われる静かなるサラブレッドに
驚きを覚えたもにだった。

時に1967年の事だった。

サラブレッドは人間が作った最高の芸術品、
まさにその至宝とも言うべき姿が目の前に居た。

向こう正面でスルスルと上がっていくときの華麗なフットワーク、
夢見る想いで直線を先頭で駆け抜けるシンボリを見つめていた。

実際の姿は見ていないが
グラスワンダーが私を虜にした2頭目の馬である。
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1995年の朝日杯、西に傾いた夕日を浴びて
輝く金色の栗毛の美しさをテレビで見たときの感動は忘れられない。
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今や20歳を超す老境に差し掛かったワンダー、
その眼は現役のころと比べ優しさに溢れているが
金色の栗毛は当時の美しさを今に伝えている。

3頭目が先日の有馬記念を制したサトノダイヤモンドだ。
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鹿毛のダイヤモンド、馬券を取らせてもらったからではないが、
パドックを周回する彼のバランスの良い体型は抜きんでていた。

父はディープインパクト、祖父はサンデーサイレンスの良血、
競り市価格は2.4億円、
同じ父を持つ良血馬のロイカバード(2.6億円)との
5億円の新馬対決を制しクラシック候補に名乗りを挙げた。

しかし、皐月賞は仕上げ途上で3着、
ダービーは落鉄による不運で2着に終わった。

その無念を菊花賞で晴らしたサトノダイヤモンドが
年の瀬を飾るグランプリで良血の真価発揮、
並み居る古馬を一蹴した。
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馬体的には父のディープインパクトを圧倒するサトノダイヤモンド、
来年は凱旋門賞への挑戦が囁かれている。

しかし、私、個人的には日本に留まって
優美でありながら逞しい身体を緑のターフで躍動させ
ダイヤモンドの輝きで魅了して欲しい。
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# by shige_keura | 2016-12-30 08:39 | スポーツ | Comments(0)
ふるさと独歩行 -師走の金沢―
東京生まれの私にとって6年の間
暮らした金沢は第2の故郷のようなものだ。
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21世紀美術館を巡った後は、
まずは腹を満たさねば行軍には耐えられぬ。

そうかといって余り重たいものを食べてはいけない。

何故なら夕食は金沢郊外で「マタギ料理」、
鳥獣の肉が待ち構えているからだ。

こういう時に最適な店が香林坊裏にある
手打ちそば「藤井」である。
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古都金沢に相応しい小体な蕎麦屋、
ここでは「せり蕎麦」とか「牛蒡天蕎麦」等、
気の利いた品を出してくれる。
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昼食後の一人歩き、
自然と足が向かったのは兼六園。
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時々小雨がぱらつく陽気、
ひっそりとした庭園は雪吊りの冬構え、
雨合羽で庭の手入れを黙々とこなす人たちが目につく。
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一角に場違いのような名前が見える。
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その名も「松の傷」、
松の廊下の刃傷事件とは何ら関係ない。

第2次大戦末期、飛行機燃料が不足してきた日本
苦肉の策が、松の幹を削って松脂から油を搾取しようとしたもの。
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ここまでして、戦を続けたとは、
今となっては信じがたい話である。
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兼六園から真正面に見える卯辰山の一角に
我々の暮らしたマンションが雨にかすんで見える。

それはすでに15年ほど前の出来事となっている。
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金沢の文化、歴史の奥深さを感じながらの6年間は貴重な体験となっている。
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兼六園から金沢城を結ぶ石川橋、
今はひっきりなしに自動車が往来する道路はかつての百間堀、
スケールの大きさが実感となって迫ってくる。
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城を抜けると今年の3月に再現された玉泉院丸庭園。
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これは三代藩主前田利常の代に作られた庭で
兼六園がお客をもてなす庭だったのに対し、
おもに藩主の内庭的色彩が強かったとされている。
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ホテルに向かう手前が尾山神社、
当然お参りには欠かせぬところである。
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境内の母衣を纏った前田利家の騎馬像と
金色に輝く勝ち兜を今回もじっくりと見物した。
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神社には我が家と一族の幸せと
騎馬像には暮れの有馬記念必勝を祈願したことは言うまでもない。
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# by shige_keura | 2016-12-29 09:00 | | Comments(0)
「うまくち」は400年の歴史 -師走の金沢ー
今や定番化している師走の金沢旅行。

ブリ、香箱蟹、のどぐろ等の海の幸、
               (「千取鮨」の香箱蟹)
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熊、鴨、イノシシ、鹿等の「マタギ料理」
               (金沢郊外、「つばき」の熊の刺身)
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そして東茶屋街のフランス料理を今年も満喫した。
               (東茶屋街のフレンチ「ロベール デュマ」)
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食べることが主目的の旅だが、
食べるためには適度な運動も必要となってくる。

そこで、今回訪れたのが金沢港そばにある大野の町である。

ここは、今や世界的に好まれている
日本の伝統の味である醤油の五大産地として栄えた所なのだ。

五大産地とは千葉県の野田と銚子、
兵庫県の龍野、香川県の小豆島と、ここ大野を指す。

大野の醤油づくりは
加賀藩3代藩主である前田利常が
元和年間(1615~1623)に商人の直江屋利兵衛に
食文化向上と藩の財源確保の為に命じたことで始まった。
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利兵衛は紀州から醸造技術を学び
大野を醤油造りの町として育てていった。
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同時に、加賀藩は参勤交代等、
機会あるたびに街道筋の宿場で大野醤油の宣伝を行った。

最盛期には60軒の醤油醸造元が軒を連ねていたが
徐々に衰退したものの今でも22軒が
独特の大野醤油の味を産み出している。

大野醤油は食文化豊かな加賀料理と共に発展したと言っても良いだろう。

その味は普通の醤油に旨味を取り入れた
「うまくち醤油」として好まれている。
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今回訪れた「直源」の創業は文政8年(1825年)、
屋号は直江屋の源との意味合いを持っている老舗中の老舗である。
               (「直源」の昔の玄関)
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初めて経験した醤油テースティング、
その味は微妙に異なっている。
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甘味が薄い濃い、塩味が効いている効いていないだけではなく、
味の深みがそれぞれに違う。
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たかが醤油と言うなかれ、
加賀の食文化を支えてきた大野醤油
だてに400年の歴史を重ねてきただけではない。
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# by shige_keura | 2016-12-28 08:47 | | Comments(0)
仮名手本忠臣蔵は女が手本
12月の国立劇場は10月から3か月連続完全通し上演
「仮名手本忠臣蔵」の八段目~十一段目である。
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12月になると毎年、舞台やテレビで取り上げられるのが赤穂義士のお噺だが、
今回は3か月累計上演時間が15時間にも達すると言う超大作である。

人気演目だけにお客様も大勢、
中には丸髷のご婦人が彩りを添えている。
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12月はいよいよ本懐を遂げるクライマックスである。

しかし、お噺の中心は九段目の山科閑居の場である。
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ゆったりとしたテンポで進む九段目、
時には眠気を覚えたものの、
お芝居の為に作られた人物・加古川本蔵にまつわる顛末が興味深かった。

加古川本蔵は桃井若狭之助の家老で、
短気な殿を慮って高師直(吉良上野介)に賄賂を届け
主君の刃傷を未然に防いだ。

更には塩冶判官(浅野内匠頭)が刃傷に及んだ時に
後ろから抱え大事を防いだ男だ。
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判官と本蔵の因縁はこれだけではない。

本蔵の娘、小浪と由良之助の長男、力弥は婚約していたのである。

本蔵の母は小浪を嫁にやる為、
雪の降る中、山科の大星の閑居を訪ねた。

ところが、大星の妻、お石は
主君の刃傷の一件から、結婚を承知しない。

このように忠臣蔵は男の世界だけではなく
女の因縁話が重要な鍵を握っている。

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# by shige_keura | 2016-12-27 11:06 | | Comments(0)
クリスマスは「もつ鍋」で
12月24日のクリスマスイブ、
例年の行事が賑やかに行われた。
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12月生まれの孫の誕生日祝い
兼クリスマスパーティの食卓にはいつものように豪華な食材が並んだ。
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珍しいイタリアの赤の発泡酒と赤ワインが真に美味しくて、
ついつい飲食が進んだ。
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とどめは濃厚なピエール・エルメのチョコレート、
マカロンとイタリアの懐かしいパネトーネまでも、
胃袋ははち切れんばかりである。
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翌25日、今夜は軽くしようとの
夫婦の会話を聞いていたかのように
博多・越後屋の「もつ鍋」セットが宅急便で届いた。
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各種のモツのほかニラ、キャベツ、キノコ等の野菜、
豆腐、〆めのチャンポン麺すべて揃っている。

娘たちからのクリスマスプレゼント、
これは早く食べた方が良いに決まっている。
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フレッシュなモツ、二ラ、キャベツ、キノコ等
柚子が入った揚げ豆腐等を鍋に入れて火にかける。
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そろそろ頃は良し!!
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九州熊本旅行の獲物、
43度の球磨焼酎のロックをちびちびやりながら
濃厚な鍋をつつく。
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自然と夫婦の会話は
最初に福岡の越後屋を訪ねた時期の話に入っていった。
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当時は孫が一人もいなかった!
ということは、必然的に今から15年も前の事となる。

まさに「光陰矢のごとし」、
時の流れの速さには驚くばかりである。

「旨い、旨い」と箸は進むが、
4人前のもつ鍋は流石に多すぎた。

明日は野菜を新たに足すと同時に
麺とお餅の味を楽しもう。
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それにしても昨日、今日、
胃袋が驚いていることだろう。
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# by shige_keura | 2016-12-26 21:19 | | Comments(0)
クリスマス ワンダーランド
12月20日、渋谷、東急シアター・オーブで
一足早いクリスマス気分を味わった。
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クリスマスにまつわる歌はどれもが美しく楽しく
子供の頃の時代へと呼び返してくれる。
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クリスマスの歌は嫌いだと言う人は
まずお目にかかったことがない。

アメリカではクリスマスの季節が近づくと
各地でクリスマス・ソングを主役に
様々なミュージカル、ショーが繰り広げられてきた。
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始まりは1933年ニューヨークのラジオシティで行われた
「ラジオ・シティ・クリスマス・スペクタキュラ―」であり、
今や冬の風物詩となっているが
そのほかの各地でも様々なショーが上演されている。

今回のシアター・オーブは
「ブロードウエー・クリスマス・ワンダーランド」の日本初演である。
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ステンドグラスが輝くクリスマスタウン、
氷と雪の世界、巨大なクリスマスツリーにサンタクロース、
そしてスケートリンクの華麗な舞等々が
おなじみのクリスマス・ソングに乗って夢の世界へと誘ってくれる。
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流れる調べは「赤鼻のトナカイ」「ウインターワンダーランド」
「ブルークリスマス」「サンタが街にやってくる」「聖夜」「ジングルベル」等、
新しいところでは1994年マライア・キャリーの
「恋人たちのクリスマス」も登場する。
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そして定番の「ホワイトクリスマス」が
観客とのハーモニーで会場いっぱいに流れる。

今年は政治経済、自然環境、「まさか、まさか」の連続だった。
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この日の歌が世界を平和に導いてくれると良いと願いつつ
一時のクリスマス気分を満喫した。
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# by shige_keura | 2016-12-25 13:40 | | Comments(0)
そして「ひとけた」が無くなった
2016年12月6日、MLB、ニューヨーク・ヤンキースは
デレク・ジータ―選手の永久欠番を発表した。

デレク・ジータ―、1995年から2004年までの20年間
ヤンキース一筋にプレーした。

これはトレード大流行の昨今の風潮から見ても稀有のことである。

20年間にワールド・シリーズ制覇5回、
通算安打は3,465本、通算打率0・310、
これは永久欠番に相応しい成績と言えよう。

しかし、ジータ―が素晴らしいのはリーダーシップと人柄にある。
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ヤンキース第11代主将として
「ザ・キャプテン」の称号を授けられているのも、
ジータ―の持つ素晴らしい人格によるものである。

松井選手の活躍もジータ―が居たからのことであることを
本人は幾度も明かしている。
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負けた試合では必ずインタビューを受ける一方、
活躍した試合ではさっさと帰ってしまう。

彼はその理由をこう述べていた。

「僕と同じように勝利に導いた選手が居るのだから、
 彼にインタビューして欲しい」。

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# by shige_keura | 2016-12-18 10:15 | スポーツ | Comments(0)
狂気の沙汰も金次第
タイトルは「地獄の沙汰も金次第」をもじったものだ。

これは、最近の読売ジャイアンツの補強を見ていて感じたことで、
FA選手をごっそりとかき集める手法、
これでもかと外人選手を金で集めるやり方。

何処に補強の焦点があるのか理解不能、
ただただ、金に物を言わせて選手を手当たり次第かき集める。

このチームは昔の悪い癖が全く直っていない。

自分たちのチームのどこに弱点があるのかをはっきり見極めないで、
おもちゃを欲しがる子供さながらに選手をかき集める。

思えば、長嶋、原時代、一塁手ばかりを集めたことがあった。

広沢、石井に落合、清原、ペタジーニ、小笠原・・・・、
これでは、巨人生え抜き選手はたまったものではない。

それに比較すれば、今回は未だ良いのかもしれない。

特に陽の補強は巨人の外野陣に一層の厚みを増すだろう。

しかし、どうにも解せぬのが、
メジャーに返り咲いたのもつかの間
力が衰え、マイナー落ちしたマギーを獲得したことだ。
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彼の守備位置は一塁と三塁、
そこには巨人の中心選手がいる。

一塁には阿部、三塁には村田である。

仮に阿部が故障しても亀井という
打撃センス抜群の男が居る。

三塁の方には村田のほかに
将来の4番候補の岡本が居る。

マギーを獲得したと言うことは岡本のやる気を潰しかねぬし、
生え抜きの育成をあきらめたとした思えぬ愚策である。

今年トレードに出されたのが
右の大砲候補として期待された大田だが、
彼の二の舞になる可能性が高い。

いつになったら、巨人の「欲しい欲しい病」は直るのだろうか? 

マギー選手の獲得、これはひょっとして
マギースープでチームに栄養をつける為なのかも知れない。
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何も考えない金満体質の男の金の使い方、
それは狂気の沙汰としか思えない。

「追記」
補強は未だ終わってないようだ。

抑え候補に現役MLBと最終交渉中だとか、
その人の名前がアルキメデス・カネミロ。

誇大随一の数学者と同じ名前のアルキメデス、
彼をもってすれば奇々怪々の巨人を解決に導けるのか?

或いは、セカンドネーム通りのカネミロ、
金だけ見ている(金見ろ)選手で役に立たないのだろうか?
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# by shige_keura | 2016-12-12 21:24 | スポーツ | Comments(0)
「春の小川」逝く
黒柳徹子さんに「春の小川」と評されていたアナウンサー、
司会者の小川宏さんが11月29日亡くなられた。

享年90歳、慎んでお悔やみ申し上げます。

「春の小川」とは言いえて妙、
小川さんの穏やかな雰囲気、
優しい笑顔で親しみ深く語りかける話術は
春の陽を受けて静かに流れる小川そのものだった。

          (「ジェスシャー」のレギュラー、
           小川さんを挟んで柳屋金梧楼さんと水の江滝子さん)
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小川さんは民放の朝のワイドショーの顔として長らく務めておられたが
私にとっての彼はNHK人気番組「ジェスチャー」の名司会者である。

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# by shige_keura | 2016-12-09 09:22 | | Comments(0)
「藪の中」が生んだ傑作
ここは京王線「多磨霊園駅」から
徒歩5分ほどの所にある聖将山「東郷寺」。
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枝垂桜の大樹の背後に
威風堂々の山門がそびえている。
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開基は1940年と新しく、
聖将山との山号がユニークこの上もない。
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聖将に東郷と言えば、日露戦争を勝利に導いた
東郷平八郎元帥が先ず頭に浮かぶ。

「その通り!」
ここは元はと言えば東郷平八郎の別荘の跡地なのだ。

「東郷寺」は彼の死後、
元帥を慕う人たちによって建てられた日蓮宗の寺なのだ。

原宿に東郷神社、郊外に東郷寺なのだから
東郷平八郎は稀有の存在だったのだ。

さて、この寺の山門が有名になったのは
黒澤明1950年製作の傑作、
「羅生門」のモデルになったと巷間伝えられているが、
果たして本当なのだろうか?

                (映画「羅生門」のセット)
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映画に出てくる羅生門は2階建て、
一方の東郷寺の山門は似ているとは言え2階は無い。
               (「東郷寺」の山門)
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映画の原作である芥川龍之介の「羅生門」は
朱雀大路にあった平安京正門の「羅城門」に由来している。

平安京の羅城門は跡地に石碑を残すだけだが、
復元図が当時の姿を今に伝えている。
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黒澤明は「東郷寺」山門の存在は知っていたとはいえ
実際の映画でセットとして組み立てたものは
あくまでも「羅城門」をモデルとしたものだと思う。

何故ならば、復元図と映画の羅生門は瓜二つとまで似ているからだ。

映画の「羅生門」は1950年製作、
原作は芥川龍之介の「羅生門」と「藪の中」を組み合わせたものにしている。

監督・黒澤明、脚本・橋本忍、音楽・早坂文雄、撮影・宮川一夫、
そして主演の一人が三船敏郎ならば東宝作品である筈だ。

ところが、この映画の製作・配給は大映である。

偶々、映画化の話が起きたとき、東宝は深刻な労働争議に突入、
黒澤明は退社してフリーとなったので
橋本忍と脚本を練り上げ大映に持ち込んだのだ。

当時の大映社長はワンマンで「ラッパ」の異名を取っていた永田雅一、
当初、映画化には全く乗り気ではなかった。

しかも、黒澤明が予算無視して金をつぎ込み
桁外れなセットを組んだことで腹を立てていた。

何しろ、山門の大きさが間口33メートル、奥行き22メートル、高さ20メートル、
資料に残されていた「羅城門」のサイズとほぼ同じものを作ったのだ。
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周囲1.2メートルの巨材18本を使い、
延暦17年と彫り込んだ屋根瓦を
4,000枚作らせてしまったのだから凝りようは尋常ではない。

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# by shige_keura | 2016-12-06 10:18 | | Comments(0)



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