マグノリア(Magnolia)
この元締め(親、属)は”モクレン”である。 しかし、この親は多くの子(種)を持っている。 その一人が泰山木(Magnolia grandiflora)であり もう一人は朴の木(Magnolia obovata)である。 泰山木が北米原産の常緑樹であるのに対し 朴の木は日本原産で落葉樹である。 その一方で、この二つの木は 姿、形の良い立ち姿と 艶々と大きな葉っぱを持つことで 共通点も有している。 そして、かぐわしき甘い芳香を持つことも一緒である。 ここは山中湖近くのクラブの庭だ。 窓を開けると なにやらウットリとする 微香が漂っている。 その香りに引き寄せられるように歩いて行くと そこに一本の背の高い木があった。 これが”朴の木” 見上げると、幾つもの満開の白い花が 今を盛りと咲いていた。 なんとも甘く、ウットリとする香りだ。 朴の木は日本原産、 しかし、この芳香は日本のものではない。 この蠱惑の香りが相応しいのは南国だ。 まさに、ハワイなどでレイに用いる ”プルメリア”の香りを思わせる。 心は遠く南国の島に飛ぶ。 暑い日も暮れて 漆黒の闇に松明の明かりが揺れている。 日中の暑さの名残なのか? 重たい空気が流れる中 ふと、甘いかぐわしい芳香が・・・・・ いつの間にか マグノリアの木の下に 小麦色をした乙女が佇んでいた。 この光景に最も相応しい女優は誰か?? それはフランス・ニューエン 「南太平洋」での彼女をおいて他に居ない! ブロードウエーの大ヒットミュージカル、 「南太平洋」が映画化されたのが1958年の事だった。 中学3年の時に 英語でファンレターまで書いた ミッツイー・ゲイナーが主演とあって 映画館にすっ飛んで行った。 彼女の歌と踊りに 夢中になっていた私だが 後半のある場面で 目が釘づけとなってしまった。 その場面が 彼女、フランス・ニューエンの登場だった。 この作品は第二次大戦後半の 南の激戦地を舞台にしたものだ。 或る日、南の島に 特命を帯びた中尉(ジョン・カー)が着任する。 彼は神秘の島といわれた バリ・ハイ島に足を踏み入れ、 そこで出会ったトンキン人の娘 リアットと恋におちる。 籐と竹に覆われた 東洋的な小屋には 霧が流れ込んできている。 部屋の片隅で 楚々と佇むフランス・ニューエンは 全く映画女優の匂いを感じさせない 一人の乙女だった。 だからこそ、その後の彼女は 映画女優としての活躍は 全く見せていない。 その意味では 全くタイプは違うが 黒澤明の「隠し砦の三悪人」で 野生的な姫を演じた 上原美佐に相通ずるものがある。 バリ・ハイ島の池、 愛くるしい仕草で 「Happy Talk」を歌うニューエン、 可愛かったなーー!!!! 「Happy happy happy happy talk・・・・・・・・」 そんな、しょうもない事を考えながら しばし朴の花に見入っていた。
by shige_keura
| 2009-07-02 08:45
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