故池波正太郎さんの傑作シリーズと言えば
「鬼平犯科帳」、 先週末に吉右衛門”鬼平”の 新作が放映されたばかりである。 シリーズ中に何度も登場する場面が 長谷川平蔵の市中見回りである。 深編み笠に着流し 腰にはに一本落とし差し、 単独行か、供は精々一人、 足で回って自分の目で 市中の様子を確かめる。 (池波正太郎氏による長谷川平蔵は小太りで小柄 だから、初めは先代松本幸四郎が演じたのだろう) この場面で驚くのは 平蔵の行動半径の広さである。 それは江戸城近くの清水門の役宅から 下町の深川、湯島、浅草等々 或いは当時は草深い郊外の 広尾あるいは目黒だったりする。 どう見積もっても 一日の行程は20キロ以上になるはずだ。 時は移って現代 平蔵とはいかぬが 年老いた、”たそがれ同心”二人が 山の手から下町への 市中見回りを決め込んだ。 時に7月9日 日中の温度は30度を超え 湿度は60パーセント 曇り空、風は通っていたとは言え 老人には若干過酷な天候だった。 当日の行程は 代官山を発して 目的地は日暮里の古刹、善性寺 片道15キロ程になるだろう。 午前9時、代官山をスタート 手には脇差ならぬ ペットボトルを抱えての軽装だ。 (並木橋交差点、左手奥に馴染みの場外馬券売り場がある) 八幡通りを並木橋の交差点を突っ切って 青山の246を右折、 赤坂方面に歩を進める。 時間的に出勤時間とまさにかさなる。 若者達に紛れた老同心二人 まさか日暮里まで歩いているとは お釈迦様でも??????だろう。 表参道、そして左手に絵画館を見て 快調に歩を進める。 行く手に、和菓子の老舗 ”虎屋”の建物が目に入ってきた。 当時、和風総本家の虎屋が 洒落た洋風のビルを建てたのには 世間が驚いた。 しかし、これには裏がある。 「虎屋の十八番は”ヨーカン”だから!!」 道の左手、豊川稲荷が見えてきた。 久しぶりだ、折角だから お参りをしない手は無い。 しかしながら、境内一帯 どこを見てもお狐様ばかりというのは 正直言って余り良い気分とは言えない。 東宮御所の脇道を下り 赤坂の迎賓館へ、 しばし広大で立派な建物に 目を奪われる。 そして四ツ谷見付から 靖国通りに入る。 巨大な靖国神社は 今まさに”みたままつり”の準備に追われている。 しかし、その様相は腹立たしいものだった。 「みたままつり”と言うからには 先の戦争で命を落とした多数の戦没者の 魂を厳粛に弔うことが趣旨であるはずだ。 それが、盆踊りでもして 浮かれようかというような飾りつけ どうも靖国神社の存在自体が 私には胡散臭く思えて仕方がない。 神田の古書街を見て 白山通りを御茶ノ水駅方面へ。 ここで運よく小雨が降ってきた。 足腰に疲れを覚え始めた タソガレの二人 喫茶店に難を逃れた事は言うまでもない。 ここ御茶ノ水が 計算によれば行程の6割、 休みを取るに良い時だ。 冷たいジュースで喉を潤し 後半戦に備える二人だった。 続きは明日、
by shige_keura
| 2009-07-20 21:40
| 旅
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