10月9日、11時を廻った頃のことである。
敦煌より東へ約250キロ 漸くバスは、とある崖の上に停車した。 前方に”楡林窟”(ゆりんくつ)の看板が見える。 遠くに仰ぎ見る祁連(きれん)山脈からの水を運ぶ 楡林河両岸の切り立った断崖に 41もの石窟が開削されている、 それが楡林窟である。 崖上からの眺望、それは印象的だ。 恐らく氷河期からだろうが 侵食された深い谷が口を開け 下を流れる河の両岸には 楡林(ゆりん)の名の通り 楡の林が緑の葉を風にそよがせている。 遥か上流には 今まさに見ごろとなった 胡楊(こよう)の黄色い葉っぱが 陽を浴びてキラキラと輝いている。 楡林窟は主に唐の中期以降のもので 歴史、考古学者にとっては ここに多く描かれている西夏時代の壁画が 貴重な研究材料となっている。 何故ならば、西夏がどのようにして 突如、字をもって歴史に登場したのか? それがどうして死に絶えたのか? 実に謎の多い文化だからである。 私にとって興味深かったのは 第2窟(西夏時代)の壁に描かれている ”玄奘三蔵取経図”だった。 玄奘三蔵は日本でもお馴染みの三蔵法師であり 西遊記であり孫悟空に繫がっていく。 玄奘の記録によると 彼は西域へ足を踏み出して行く時 この地(安西)を経由している。 従って、この窟に ”玄奘三蔵取経図”が描かれている事は 単なる偶然ではないのである。 壁画の玄奘は袈裟をまとい 観音に向って合掌し その背後には 猿の顔をした孫悟空と白馬がいる。 さて、午前の部も終了し 待っていた昼食タイムとなった。 今日は絶景の中 アウトサイドランチを楽しもう。 場所柄、豪華な昼食である筈が無い。 しかし、プレートに並ぶ 新鮮なカボチャ、ジャガイモ、人参、ほうれん草、 そして鶏に羊肉、 全てがこの楡林窟敷地内で調達されたものだ。 更に、牛肉が入った アッサリ味のラーメンまで!! そして最高のご馳走が この景色である。 十分にリフレッシュしたぞ! さー、午後の見学がまもなく始まる。
by shige_keura
| 2009-10-21 08:58
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