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”いてて”の男
昨日までのブログにて
若干触れた遠藤幸吉が
今日の主人公、”いてて”の男である。

その昔のプロレス、
我々同世代の男たちは
必死にチャンネルにかじりついていた事だろう。
”いてて”の男_c0135543_9215651.jpg

その中心にいたのが力道山。

プロレスといえば力道山、
欧米の残虐非道な男たちの胸元に
伝家の宝刀、”空手チョップ”一閃!
”いてて”の男_c0135543_9225671.jpg

吾等が英雄であり
日本スポーツ界の誇りだった。

遠藤幸吉は英雄、力道山の
パートナーにして引き立て役だった。

力道山が最初のパートナー、
木村政彦と喧嘩別れした後
次に選んだのが遠藤幸吉だった。

共に胸板が厚く
筋肉隆々とした身体で
コンビとしてはまことに格好良かった。
”いてて”の男_c0135543_9242175.jpg

又、幸吉は当時の日本人としては珍しく
髭をたくわえバタ臭い香りがする男、
とても東北出身とは思えなかった。

見てくれは共に恰好良い二人だったが
役割がハッキリしていた。





遠藤幸吉は外人レスラーの”やられ役”
もはやこれまでと皆がハラハラした時に
颯爽として登場するのが力道山だった。

だから、幸吉が外人選手を
圧倒している場面の覚えは殆どなく
常に痛めつけられっぱなしの男だった。

そして、いつとはなく
彼は”いてての遠藤”と呼ばれるようになった。

テレビに映し出されるお馴染みの光景、
それは外人に腕をキーロックで決められて
マット上でのたうち回る所だ。

なんとか逃れようとする幸吉だが
敵の攻撃も執拗だ。

敵に腕を攻め立てられるたびに
幸吉の口から
”いてて、いてて”の
情けない言葉が漏れる。

最初のうち、その悲鳴は同情を呼んでいた。

しかしながら、延々と続く
”いてて、いてて”に
観客もあきれ果て
”またか”と失笑が漏られるようになった。

そして、1960年代の後半に
現役を引退してゆく。

誰もが幸吉の存在を忘れかけた頃、
’70年代の後半
彼は解説者として注目を浴びるようになった。

何故に、注目を集めたか?

それは、彼の発する
訳のわからぬ解説によってであった。

私自身、彼の迷解説の事は余り知らないが、
人によっては、これを聞きたいが為に
チャンネルを合わせていたという。

中でも最大の話題を呼んだのが
あるビッグイベントの開始前に発した
次の言葉だった。

「この試合はですね、
 これはもう、なんていっても
 オス、メスを決める戦いなんですね」

”雌雄を決する”の言い間違いは明らかだが
そのときばかりは、暫くの間
奇妙な静寂がマイクの前を漂っていた。

尚、幸吉のこの迷得意技が
最近では麻生某に受け継がれていったとは
何処にも書いていない。

日本プロレス草創期の人、
”いてての男”は今も健在で
大田区、久が原にお住まいだという。

あの頃のプロレスは
凄く面白かったなーー。
by shige_keura | 2009-11-07 09:01 | スポーツ
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