本シリーズの最後は
主役のD滑走路で締めくくろう。 羽田崎拡張計画プロジェクト 最大の目玉、D滑走路建設に当っては 様々な検討が成されてきた。 中でも特に配慮されたのが 次の2点である。 1.多摩川の流れを変えることによる 生態系への影響を最小限に止めること。 2.東京湾内を航行する船舶の 安全維持を実現すること。 この懸案を解決する為に採用されたのが 海上に建設する 世界で初めての”ハイブリッド方式滑走路”なのだ。 (左側の白い部分が桟橋方式、右が埋め立て方式) これは従来の”埋め立て方式”と 新たな”桟橋方式”を組み合わせた ユニークな滑走路なのである。 具体的には、多摩川河口に近い滑走路は 桟橋方式を採用し 水の流れを変化させずに滑走路の下を通している。 又、桟橋方式の採用により 東京湾に突出する埋め立て部分は 最小に押さえることが可能となり 船舶への影響を回避できるのである。 この工事に当っては 特に桟橋方式滑走路建設に 近代建築の粋が集められている。 技術的検討が最も成されたのが 建設予定地の地盤対策である。 ここは軟弱地盤層が広がり 水深12-20メートルの海底に 軟泥が20メートルも堆積しているのだ。 そのため、桟橋強度を十分にするため 海底より70メートルの深さまで 杭が打たれている。 又、この滑走路の橋桁は 海水腐食を防ぐ為 すべてステンレスで囲っている。 この工夫により 耐久年数は通常の50年から 一挙倍の100年へと伸びている。 極めつけは滑走路の床である。 この床の厚さは約1メートル 中は空洞である。 この空洞の中に 40-50もの除湿機が設置されている。 これは滑走路の空に面した表面温度と 海に面した面の温度差によって生ずる 空洞内の水滴を除去する役目を持っている。 技術の粋を極めたD滑走路、 その稼動は本年秋と迫っている。 そのとき、羽田空港は 新たな飛躍の一歩を踏み出す事となるだろう。
by shige_keura
| 2010-03-12 08:57
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