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空の玄関浮き沈み (環境に優しい滑走路)
本シリーズの最後は
主役のD滑走路で締めくくろう。

羽田崎拡張計画プロジェクト
最大の目玉、D滑走路建設に当っては
様々な検討が成されてきた。

中でも特に配慮されたのが
次の2点である。

1.多摩川の流れを変えることによる
  生態系への影響を最小限に止めること。

2.東京湾内を航行する船舶の
  安全維持を実現すること。

この懸案を解決する為に採用されたのが
海上に建設する
世界で初めての”ハイブリッド方式滑走路”なのだ。

               (左側の白い部分が桟橋方式、右が埋め立て方式)
空の玄関浮き沈み (環境に優しい滑走路)_c0135543_8511763.jpg

これは従来の”埋め立て方式”と
新たな”桟橋方式”を組み合わせた
ユニークな滑走路なのである。





具体的には、多摩川河口に近い滑走路は
桟橋方式を採用し
水の流れを変化させずに滑走路の下を通している。

又、桟橋方式の採用により
東京湾に突出する埋め立て部分は
最小に押さえることが可能となり
船舶への影響を回避できるのである。

この工事に当っては
特に桟橋方式滑走路建設に
近代建築の粋が集められている。

技術的検討が最も成されたのが
建設予定地の地盤対策である。

ここは軟弱地盤層が広がり
水深12-20メートルの海底に
軟泥が20メートルも堆積しているのだ。

そのため、桟橋強度を十分にするため
海底より70メートルの深さまで
杭が打たれている。
空の玄関浮き沈み (環境に優しい滑走路)_c0135543_8542347.jpg

又、この滑走路の橋桁は
海水腐食を防ぐ為
すべてステンレスで囲っている。
空の玄関浮き沈み (環境に優しい滑走路)_c0135543_8552291.jpg

この工夫により
耐久年数は通常の50年から
一挙倍の100年へと伸びている。

極めつけは滑走路の床である。

この床の厚さは約1メートル
中は空洞である。

この空洞の中に
40-50もの除湿機が設置されている。

これは滑走路の空に面した表面温度と
海に面した面の温度差によって生ずる
空洞内の水滴を除去する役目を持っている。

技術の粋を極めたD滑走路、
その稼動は本年秋と迫っている。
空の玄関浮き沈み (環境に優しい滑走路)_c0135543_8573256.jpg

そのとき、羽田空港は
新たな飛躍の一歩を踏み出す事となるだろう。
空の玄関浮き沈み (環境に優しい滑走路)_c0135543_855694.jpg

by shige_keura | 2010-03-12 08:57 |
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