日曜日午後6時に始まる”てなもんや三度笠”、
実はこの私、余り好きでなかった。 その時の実感は 早く終わってくれれば、の思いだった。 肌が合わなかったこともあるが 続く6時半から始まる番組が 待ち遠しくて仕方がなかったのだ。 ならば、「てなもんや・・」は 見なきゃいいじゃないかとくるだろうが 6時半からの番組を見逃してはいけない一心で テレビにかじりついていた。 その番組は「シャボン玉ホリデー」!! テレビ局は違うとは言え 笑いの質が全く異なった番組が 相次いで登場するのは稀有のことではなかったか? 当時、この両番組ほど 西と東の笑いの質の違いを 如実に表したものはないだろう。 西の笑いの原点、 それは”えげつないほどにしつこく 笑いを追及していくこと”にあると思う。 それが私のような東の人間にとっては ゲップが出てしまうのである。 「何もそこまでやることないだろう」 一方、東の笑いの原点は よく言えば洒脱、粋、 すべてをあからさまにしない いわばくすぐりにある。 それは関西の人たちにとっては 頼りない、物足りなさを与えるのだろう。 くすぐりにくすぐりまくり さらに”どつき”で止めを刺すのが上方流、 くすぐるぞ、くすぐるぞ、と、ちらつかせるのが お江戸の流儀なのではないだろうか。 こうして、藤田まことさんを振り返ると 彼は上方流本家、 ”アク”の強さを押し出す事で 輝きを増す役者ではなかったか。 「てなもんや三度笠」しかり 「必殺仕事人」の中村主水しかりである。 だから、どうしても池波正太郎の傑作シリーズ 「剣客商売」の江戸の粋人かつ剣術の達人 秋山小兵衛役はイメージとは合わなくなるのだ。 こうしてみると役者気質は 生まれよりも育ちに影響されるのだろうか? 「シャボン玉ホリデー」の人気者は植木等、 かれは愛知県の生まれながら 僧侶修行の為幼少時代より駒込に引越し その後は東京で生活を送った。 植木等の無責任シリーズ そこには彼のアクの強さも見られるが かれの真骨頂はなんともいえない 洒落た”おとぼけ”にある。 役者の生まれと育ち なかなか面白いテーマである。
by shige_keura
| 2010-03-15 13:21
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