相撲の決まり手、
昔は四十八手と言われていたが 今はその倍近く、82の決まり手が存在する。 決まり手とは、その名の通り、 勝負が決まった時の仕掛けた技のことだ。 ところが相撲の世界には 決まり手には数えられない いわゆる”非技”で勝負がつくことがある。 勿論、非技で勝負が決まることは珍しいのだが その珍しい非技、”つき手”が 夏場所の中日、8日目に起こった。 取り組みは猛虎浪と光龍。 立会いに猛虎浪が大きく左に変化し 突進した光龍はそのまま土俵を割ろうとした、 と、そのとき、どうしたわけか 猛虎浪がバランスを崩し土俵に手を付いてしまった。 勝った光龍は、 「何もしないのに勝っちゃった」と照れ笑い。 尚、つき手で勝負がついたのは 昨年の秋場所以来であるが その時負けたのも猛虎浪、 どうにも足腰の弱い相撲取りである。 今回のつき手は 見た目はなんともだらしのない勝負となったが ときには”つき手”か”かばい手”かで 大論争を呼ぶこともあったのだ。 ”かばい手”とは、相手が死に体となったとき 危険を避ける為先に手をつくことであり このばあいは”かばい手”をした力士の勝ちとなる。 ”つき手”は負け ”かばい手”は勝ち 手をついた力士にとっては それこそ天と地ほどにも差がある判定となる。 上の画像は1972年初場所8日目 当時横綱の北の冨士と初代貴乃花の一戦だ。 北の冨士が外掛けで浴びせ倒そうとするところ 貴乃花が脅威の粘り腰でこらえ 身体を左にひねりながら体を入れ替えようとした。 その直後、北の冨士の右手が先に土俵につき 立行司、木村庄之助の軍配は ”つき手”と見て貴乃花に上がった。 ここで検査役から物言いがつき 5分間の協議の結果 ”かばい手”で北の冨士の勝ちとなった。 検査役は貴乃花の体を死に体と見たのだが 立行司の差し違えという珍しい結果となった。 翌日の新聞は議論沸騰 どちらかというと貴乃花有利の論調だった。 この写真を見る限り 体勢は確かに微妙、 このまま北の冨士が手をつかねば 彼の顔は土俵に激突したかもしれない。 このような歴史に残る一番を生んだのも 貴乃花の兄貴(初代若乃花)ゆずりの強靭な足腰の賜物である。 もしも猛虎浪が貴乃花の爪の垢でも煎じていれば あのようなブザマな負け方はしなかったはずだ。
by shige_keura
| 2010-05-18 09:00
| スポーツ
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