「旅の衣はすずかけの、
露けき袖やしほるらん・・・・」 能、”安宅”の中の謡だが、 歌舞伎代表作、「勧進帳」は この謡を基に作られている。 「勧進帳」の幕開けは 松の緑を背景にした舞台に 朗々としたこの謡が流れて始まる。 さて、「勧進帳」の舞台となった”安宅関”、 この関址が金沢郊外の小松飛行場の程近くにある。 このことを知ったのが 1997年、金沢に赴任直後であった。 それまでは安宅関の所在地は 東北の山中奥深い所と思って疑わなかった。 兄、頼朝に謀反を疑われた義経は やむなく京を逃れ、奥州平泉に落ち延びる。 この話しを知った時 直ぐに想像した落ち延びルートは 東海道、中仙道経由であり まさか日本海側に沿って行ったとは 夢にも思わなかった。 もしも、私が追手ならば 完全にまかれてしまっただろう。 安宅関は小松にある住吉神社の真裏、 そして目と鼻の先には 日本海が広がっている。 しかし、本当に義経、弁慶は この安宅関を通過したのだろうか? 或いは、安宅関は本当に このような海岸近くに存在したのだろうか? もしも、このような場所ならば わざわざ関所を通らずとも 夜陰に乗じて舟で行けば良いはずだ。 どうにも良く分らない。 安宅関には勧進帳の主役、 弁慶、富樫、義経の銅像が海に向って建っている。 「武蔵坊弁慶よ、 貴方は本当にここを通過したのでしょうか?」 その問いに対して 武蔵坊弁慶慌てず騒がず 白紙の勧進帳を朗々と読み上げるに違いない。 「これはご無礼を致した。 どうぞお通り下されい」
by shige_keura
| 2011-01-05 08:55
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