若干、旧聞に属するが
今年も例年同様 1月7日に七草粥を味わったのだが、 このときいつも思い出す歌がある。 「君がため、春の野に出て若菜摘む 我が衣手に雪はふりつつ」 御存知、古今集出典、 小倉百人一首に納められてもいる 光孝天皇が詠んだ歌である。 歌に詳しくない私でも 清らかで美しい情景が浮かんでくる。 光孝天皇が大切な人の為に 春の若菜を摘んでいる。 それは春の若菜が身体に良いとされているからだ。 ”春の野”、萌え出ずる緑、衣手に降り積もる雪の白、 そして、時折雲間から顔をのぞかせる陽の光、 生命の誕生、春の歓びを感じてしまう。 さて、ここで言っている若菜とは 恐らく春の七草の事なのだろうが、 七草の中でどの若菜を摘んでるのだろうか? 今まで、私は勝手に芹だと思っていた。 そのわけは単純で 春の七草を読み上げる時、 最初に出てくるのが芹であること。 ”セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、 ホトケノザ、スズナ、スズシロ” 更には、七草の中で、 芹の持つ清冽な緑に 溢れ出る春の息吹を最も感じてしまうからだった。 そして今回、その思いを更に強くした。 何故ならば、光孝天皇が摘み草をした場所が 京都、嵯峨野にある芹川野と知ったからだ。 「やはり、春の野に出て摘む若菜は 芹が最も相応しい」 前置きがながくなってしまったが そろそろ、本題に入っていこう。 冬から春にかけては 葉野菜の種類が豊富となり 葉に甘みが加わり最も美味しい季節だろう。 ほうれん草、春菊、白菜、キャベツ、 三つ葉、小松菜、水菜等々・・・・ そのなかで緑の野菜となると 最近のご贔屓は芹となる。 特に冬場は鍋の季節、 芹の登場がどうしても増えてくるが 鍋以外での味わい方も有る。 最近作った中では ”芹と長いものサラダ”がとても美味しかった。 適度に切り揃えた芹の上に 薄くきった長いもを散らしていく。 そこに、オリーブオイルでカリカリに炒めたシラスを載せる。 醤油、オリーブオイル、お酢、粗びき黒胡椒を お好みの味に仕立て上げた”タレ”を掛けまわしてオシマイ。 至極、単純且つ簡単な料理だが、 例えば濃厚なクリーム系のパスタに合わせた所、 その相性は抜群だった。 「吾が為、厨房に出でて芹を切る、 包丁持つ手に水はかかりぬ」 ”おー冷てー!!” 一度お試しあれ!
by shige_keura
| 2011-02-03 08:57
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