前座、二つ目の高座は終了し
愈々、包丁片手に真打名人の登場だ。 軽やかな出囃しにのって名人登場! 「いよっ、待ってました、大統領!!」 ところが、本日は予定外な出来事が持ち上がった。 昨日の時化の為に目指す魚の入荷がなかったのだ。 道理で行きつけの佐島の魚屋が閑散としていたわけで、 子イカ、カワハギ、アジ・・・・全滅である。 この時、名人慌てず騒がず・・・・ と、言いたいところだが 水槽の中の活きの良いヒラメを 思わず注文してしまった。 買った後で、名人が柄にもなく愚痴る。 「カルパッチョ用に買ったんだけどさ、 これ、おろすの大変なんだぜ」 確かに、確かに、この平べったい魚を 5枚におろさなければならないのだから。 包丁を持った途端に名人の目は輝き 身体から静かに気合が盛り上がってくる。 良い緊張感とはこのこと! これが、ゴルフでも発揮されれば良いのだが?? そうは問屋がおろさぬのが浮世の難しさだ。 5枚に綺麗に切りおろされたヒラメが並ぶ。 全くもって、てーしたもんだ。 次なる名人芸はカサゴの唐揚げで発揮される。 おろしたカサゴの腹に薄く包丁で切れ目を入れ 片栗粉でまぶしておく。 この丁重なる下ごしらえが 完成したときの優美なカサゴ 羽を広げたお魚と化けるわけだ。 高級中華料理店で最後を飾るハイライト、 魚の唐揚げが大皿に盛られてく来る姿を想像してほしい。 その姿を自宅でも可能にするために いざ揚げる時にカサゴの尻尾を持ち 油をかけて姿かたちを固めていく。 ここに、名人の料理にかけるこだわりが見て取れる。 「あんな面倒くさいこと、よくやるわね」、 これは奥様の漏らした言葉。 一方、そんなことは知ってか知らずか 先ほどから呑めや歌えの大騒動、 明日になると何を食べたか殆ど覚えていない老爺達である。 このもの忘れの源は、ボケ症状とアルコールが 5分5分の割合ってところではないだろうか? 彼らの為に当日の品書をもう一度整理しておこう。 ・鶏皮の生姜風味照り焼き ・鶏挽肉と三つ葉の油揚げ包み煮 ・タコとセロリのサラダ ・牛肉と九条ネギのシャブシャブ、塩昆布薬味 ・ヒラメのカルパッチョ ・鶏ササミのパルメザンチーズ・パン粉揚げ ・イカのリング揚げ ・カサゴの唐揚げ ・中華風豚の一口カツ ・キノコの炊き込みご飯 「食いも食ったり、呑みも呑んだり!!」 要介護老人予備軍、胃袋だけは堅牢だ。
by shige_keura
| 2011-05-04 07:34
| 食
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