人気ブログランキング | 話題のタグを見る
Top
やれば出来るさ!
銀座シネスイッチで上映されている、
イタリア映画、「人生、ここにあり!」が人気を呼んでいる。

イタリアでのオリジナルタイトルは”Si Puo Fare”、
日本語では「やれば出来るさ!」となる。

この作品は2008年イタリアで公開されるや
1年以上ものロングランを記録し話題をさらった。

何故、このようなヒット作の公開が遅れたのだろうか?

映画配給会社の躊躇、
それはヒットするしないにかかわらず、
この作品の登場人物の殆どが
精神病患者との特異設定にあったのではないだろうか?

精神病患者と病院を舞台とした映画と言えば
1976年公開のアメリカ映画、「カッコーの巣の上で」、
”One Flew Over the Cuckoo's Nest”が思い出される。
やれば出来るさ!_c0135543_2252867.jpg

精神病院の蔑称、”Cuckoo's Nest”を舞台に
精神病患者を装った男が巻き起こす
言わば病院の自由解放運動の騒動が赤裸々に描かれている。

ジャック・ニコルソンの主人公、
冷酷無比な看護婦長、ルイーズ・フレッチャーが
凄まじいばかりの演技で観客を引きずり込む。
やれば出来るさ!_c0135543_2254884.jpg

二人と共に監督のミロシュ・フォアマンも
アカデミー賞を獲得した如く
ハリウッドを代表する名画中の名画である。

しかし、この映画、私にとっては
名画だが好きではない作品の筆頭なのだ。

ともかく、暗く、考えさせられ過ぎて
辟易となってしまった。

だから、良い映画とは分かっていても
2度と見たくはないのである。




イタリア人は調子が良くていい加減、
従って国も同じで信用が置けない。

これが、日本人が抱くイタリアのひとつのイメージだ。

しかし、冗談ではない、イタリアを侮ってはいけない、
彼等は重要な決断を時には迅速にやってのける。

その決断が正しい否か、
それは後世に委ねるしかないのだが
我々日本人にとっては羨ましいほどイタリア人は思い切りが良い。

ごく最近、原発を国民投票で否決したことにそれが表れている。

さて、今回の映画を見て初めて知った事なのだが
1978年、イタリアは極めて重い決断を下している。

それは、1978年公布の”バザリア法”、
即ち、イタリアの全ての精神病院を閉鎖したことだ。

基本的な考えは、
患者を病院に閉じ込めても良くはならない。

患者は各地域の責任で在宅看護で行うべし。

凄い法令だ!
こりゃ問題が起こるだろう??

その通り!!

映画、「人生、ここにあり!」は
その時起きた事実を元に作られている。

主人公は労働組合員、ネッロ、
彼は余りにも強い正義感が仇となり左遷されてしまう。

その左遷先が病院を出された精神病患者が集う協同組合、
彼等は無気力そのもの、とても前向きに働く意志は無い。

それは、ひとつには彼等の心の傷の精なのだが
ネッロは何とか彼等を前向きに働かせようとする。

それが、ある日意外なことから世間の注目を浴び
患者たちには今までとは違う人生が開けてくる。

しかし、当然のことながら世の中、甘くは無い、
様々な問題、不幸な出来事が起こってゆくのだが・・・・・・

この作品、基本的にはコメディータッチが表皮、
しかし皮を剥げば人間の尊厳に真面目に向き合ったドラマ、
その意味では、かつての同じイタリア映画の名作、
「ライフ・イズ・ビューティフル」と相通ずるものがある。

映画の出来としては「カッコーの巣の上に」には及ばぬが、
好き嫌いで言えば、私は「人生、ここにあり!」に軍配を上げる。

何故なら、作品全体に、
オリジナルタイトルがいみじくも言わんとしている
明るい、前向きの姿勢が満ちているからだ。

これが、イタリアそしてイタリア人の最大の長所、
「何とかなるぜ」、「人生を謳歌しようぜ!!」、である。

いずれにせよ、事実として、この法令は今も続いているのだから、
確かに、「やれば出来るさ!」である。

幾ら考えても難しくて複雑で分からないものは分からない。

ならば、方向性を決めて歩き出そうじゃないか、日本も。

愚かな政治家の為に
我々の重要な人生のページを無駄にされてはたまらない。
by shige_keura | 2011-08-02 08:46 |
<< 夏がくれば・・・・・・・・ 山中日記 -心地よい汗- >>



2007年9月末にこちらに引っ越してきました。
→過去のブログを見る


ホームページ 



LINK 


LINK FREE

このブログの写真・テキストの無断使用はお断りします。

(c) 2007 shige_keura. All rights reserved.