今回はある方のブログを参考として出来上がった創作童話、
題して「ヒエルトの大冒険」である。 僕の名前はヒエルト、生まれはイタリアさ。 イタリアで良くある名前、 ロベルトと間違えないでほしいい。 ヒエルト・コール、これがフルネーム、 お父さんもお祖父さんも同じ名前、 我が家の職業を受け継いだ由緒ある名前だ。 僕の正体は冷凍庫!! 冷やして凍らせるのが大切な仕事、 つまり”冷えると・凍る”が我が家の 由緒正しき名前の由来なんだ。 良く覚えておいてほしい。 お話は1980年初め、寒さ厳しい ベルギーの首都、ブラッセルで始まる。 ここは、下町の繁華街に有る 町一番のデパート、”イノバシオン” 日本の三越、高島屋のような存在だ。 ただ、ここでは日曜日が休みだから、 週末の金、土は大勢のお客で賑わっている。 僕はここの電化製品売り場の古顔だ。 あとから来た仲間は直ぐに誰かに連れて行かれるが 何故か、僕は置き去りにされたままだ。 時々、買い物客の、こんな会話が耳に入る。 「おい、これ見てくれ、いいじゃないか! 大きさも手ごろだし、安いぜ!!」 「あら、本当!!・・・・・ でも、ちょっと待って! これイタリア生まれよ、 直ぐに壊れるに決まってるわよ」 冗談じゃない、僕だって、丈夫なんだから、 悔しいな-、なんで生まれだけでこんなに差別されるのだろう? そんなある日、僕を選んでくれた人が現れた。 やったね! 嬉しいな-!! でも、ちょっと待ってくれよ・・・・・ 何だか、見た事のない人たちだ。 背は低いし、肌の色は違うし 得体の知れない言葉を喋ってる・・・・ 怪しげな人達だな――・・・・・。 その人たちは、遠い遠い東洋の島国 日本と言う名前の国から来た家族だった。 (家族と初めて暮らしたブラッセルのマンション) その家に住んで驚いたことは幾つもある。 部屋に入ると靴を脱いで スリッパと称するものでペタペタと歩き回っている。 毎日毎日、飽きずにお風呂に入っているけれど、 溶けるんじゃないかと心配した。 でも感心したのはお料理だ。 肉や野菜は勿論、 お魚を魔術師のように綺麗に料理している。 多種多様の食器に綺麗に御馳走が盛られている。 旨そうだな―!! 僕にも1回位食べさせてくれてもいいのに、 だって、肉や魚は僕が大事に面倒見てたんだから。 そんな僕にも参ったことがあった。 なんだか、臭くてとんでもないものを 度々、預かるんだ。 その気持ちの悪いものを 家族の人たちは美味しそうに食べている。 僕は絶対いやだ。 あの酷い匂いをまき散らす、 「納豆」というものを預かるのは! この家の人たちを観察するうちに 僕は分かったんだ。 子供達は直ぐに現地の幼稚園、小学校に馴染んだ。 奥さんも買い物やブラッセル大学に通ったりして この町に溶け込んでいった。 (ブラッセル大学) 一番の問題児はご主人様だ。 いつまでたっても語学は上達しないし あれで本当に仕事をこなしているのかな? 僕が心配することではないが・・・・・・・ そんな或る日・・・・・・・。 明日に続く。
by shige_keura
| 2011-09-27 08:30
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