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「山中日記 2012」 -射干玉の山-
「射干玉」は”ぬばたま”と読むと言えば
お聞きになった覚えは御同輩ならば誰でもある筈。

「そう!」、万葉集などの歌に出てくる言葉だ。
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ぬばたまの 夜さり来れば 巻向くの(まきむくの)
川音高しも 嵐かも疾き(とき)     柿本人麻呂

(夜になるにしたがい、巻向川の川音が高く聞こえてくるようになった、
 きっと、風が強くなり嵐になるのではないだろうか)
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「射干玉」は檜扇(ひおうぎ)の実、
「烏羽玉」(うばたま)とも言って、
真黒であることから万葉集などの和歌の
黒、夜、髪、夢などの枕詞として使われている。
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山梨県、山中湖畔にそびえる高指山(たかざすやま)は
その昔は、檜扇の群生地として名高かった。

檜扇とは、もともと宮中で使われていた扇で
檜の木の薄い板をとじ合わせたことから名前がついている。
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そこから名前を戴いたのが植物の檜扇、
葉の出方が檜扇を思わせることからの命名である。

植物の檜扇は日本、中国、インドに分布する
アヤメ科の多年草であり
8月に入ると橙色の花をつける。

高指山一帯はかつては
8月になると橙色で埋め尽くされ
地元の人たちはお盆の花として重宝したと言う。

それが薄(すすき)の大攻勢により
檜扇の姿は激減してきた。
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そこで立ちあがったのが地元の同好会、
有志を募って檜扇の植樹を定期的に行っている。







時は8月5日の日曜日、
集まりしは精鋭とは口が裂けても言えぬ
御同輩諸氏数名が海抜1,147メートルの高指山を目指した。
(平野に点在するテニスコートから高指山山頂を仰ぐ)
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海抜1,147メートルと言っても
山中湖の海抜が約950メートルだから
200mほど登れば良いわけだ。
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但し、200メートルは高低差、
歩くほどに傾斜がきつくなってくる。

振り返ると何時の間にやら山中湖が随分と下に見える。
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残念ながら富士山は雲に隠れ尊願を拝すことは出来ない。
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樹林を過ぎると廻りは背丈ほどもある薄の大海、
この状況を再び檜扇の群生地として取り戻すのは至難の業だ。
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しかし、何事も継続が肝要、
小さな努力といえども、積み重ねれば
何時の日にか実を結ぶ事だろう。
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その日を夢見て、
参加者全員、6株づつの檜扇を植えた。
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今年は、冬以降例年に比べ寒かったので
檜扇の花はチラリホラリ、
それだけに花を見つけた時の喜びは大きい。
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心地よい汗をかいて下山、
湖畔のハンモックカフェで憩う頃、
雲間から富士山の頂きが顔を覗かせた。
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by shige_keura | 2012-08-14 08:37 |
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