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「ちぎっては投げ」の制球力
東映フライや―ズのエースとして
1962年日本シリーズに6度登板(プロ野球タイ)
最高殊勲選手、並びに胴上げ投手に輝いた
土橋正幸氏が8月24日亡くなられた。

享年、77歳、慎んでお悔やみ申し上げます。
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土橋さんの経歴は変わっていて、
プロ野球入団前に硬球を握ったことが無い。

すなわち、軟式野球出身で、
この意味では読売ジャイアンツで活躍した
大友工氏と一緒である。

しかし、土橋さんの場合は所属チームが面白い。

彼は浅草の雷門で生まれ、実家は魚屋、
日本橋高校卒業後、家業を手伝う傍ら軟式野球チームに入っていた。

そのチームのオーナーはフランス座である。

浅草のフランス座と言えばあそこしかない!

御同輩は昔を思い出し、
目を輝かせる「ストリップ劇場」の老舗中の老舗である。

このチームで土橋さんは一時、
井上ひさしさんとバッテリーを組んでいた事があるそうだ。

土橋さんが名前を知られたのが1953年、
読売新聞主催の23区軟式野球トーナメント、
台東区の予選を勝ち上がり、区代表として後楽園のマウンドを踏んだ。

第1戦の相手は昨年度優勝の強豪、
ここを苦も無くねじ伏せた事で知る人ぞ知るの存在となる。

尚、ねじ伏せた強豪チームが府中刑務所チーム、
相手がフランス座と言うことを意識し過ぎたのだろうか?

翌年、ひょんなことから土橋さんの運命が変わった。

友人の付き添いとして東映フライや―ズの入団テストに赴いた所、
付き添いの土橋さんが入団、友人は落選となった。

入団3年目以降、土橋さんの快進撃が始まった。








土橋さんは浅草の生まれで生家は魚屋、
道理で彼の投げっぷりの良さと言ったら天下一品だった。

               (当時の東映の主力投手、土橋、安藤、尾崎)
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「ちぎっては投げ、ちぎっては投げ」
サインを受けるや否や投球動作に入っていった。
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土橋さんが最高のピッチングを見せたのが1961年
30勝を稼ぎ、防御率は1.90、文句のつけようがない成績だ。

ところが、この年はとんでもない成績を残す投手が居た。

稲尾和久さん、勝ち星42、防御率1.69、
「アッパレ」がいくつあっても足りない。

土橋さんは不運に泣いたが
翌年の1962年、日本シリーズの最高殊勲選手の栄誉に輝いた。

土橋さんのイメージは速球投手、
実際に9連続三振、1試合16三振(当時の新記録)をマークした。

又、威勢の良いピッチングは時として喧嘩投法とも呼ばれたが
実は土橋さんの真骨頂は類稀なる制球力にあった。

彼は56イニング無四球記録を持っている。

すなわち、6試合以上フォアボールを与えなかったということだ。

土橋さんの通算成績は162勝135敗、
投球回数2518回、与四球339、
1試合につき、たった1.21の四球しか与えていない。

この成績と、プロ野球史上
制球力が優秀だったであろう投手を比べてみよう。

         投球回数   与四球  1試合当たりの与四球
小山正明   4899     978     1.80

稲尾和久   3599     719     1.80

江川卓    1857      443     2.15

桑田真澄   2761     752     2.45

田中将大   1268     266     1.89

土橋さんの1.21が如何にもの凄いかお分かり頂けると思う。

ところが、ここに土橋さんを上回る制球力の持ち主が居る。

現在、レッドソックスでセットアッパーとして大活躍の上原浩治選手である。

彼の通算投球回数は1857回、その間に与えた四球が236個、
1試合当たりの与四球は、なんと1.20、驚異的である。

このようにして制球力の良い投手を見ると
共通点として、投げっぷりの良いこと、
インターバルが短いこと(例外・桑田真澄)、
投球術に秀で、球威も一級品であること。  

最後に参考までに唯一の400勝投手、
金田さんの数字を載せておこう。

通算投球回数 5526、通算与四球 1808、1試合与四球 2.94

通算投球回数、5526が破天荒なので比べる意味は無いのかもしれない。 
by shige_keura | 2013-08-26 20:48 | スポーツ
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