6月14日(日)府中・東京競馬場の朝である。
朝まで残っていた雨が上がり、 緑が一層濃くなって来たかのようだ。 レース開始前のパドックはひっそりと静まり返り ここで、2週間前に行われた競馬の祭典、 ダービーの名残はどこにも見当たらない。 故・山口瞳さんの名シリーズ「男性自身」のひとつ 「ダービーのあと」がふいに頭をよぎった。 師は確かこんなことを書いていたと思う。 「私はダービーの後の競馬場が好きだ。 最大のレースが終わったあと、 競馬場にはいつにない穏やかな空気が立ちこめている。 春競馬は終わり、それぞれ夏の巡業先 北海道へ福島へ新潟へと多くの馬がすでに旅立っている。 ホットした空気の流れる府中、 馬達もいつになくリラックスしているかのようだ」 本日もまさにそんな雰囲気が感じさせられる東京競馬場、 しかしながら、本日は花形ジョッキーが勢ぞろい、 さながら、顔見せ大歌舞伎のようである。 (連対率日本一・福永騎手) 関西から武豊、福永、浜中、フランス人のルメール 向かい撃つ関東は戸崎を筆頭に田辺に北村、内田、等々・・。 (関東の名人・横山騎手) しかし、私のお目当てはそうではない。 リサ・オールプレス、ニュージランド生まれの 女性騎手が2002年以来12年ぶりに来日している。 彼女の人生航路、ジョッキーを決定づけたのが日本である。 18歳の時、ワーキングビザを利用して来日したリサは 牧場研修を受けたことがきっかけとなって騎手を目指す事となる。 日本では女性ジョッキーの活躍は難しい。 その最大の理由は腕力が男性と比べ劣るため 勝負どころで馬を押す力が無いためである。 しかし、海外では事情が異なる。 リサは148センチと小柄ながら、 直線で馬を追う姿は迫力満点、男まさりである。 パドックで見せる優しい笑顔からは 想像もつかない闘争心を持っているに違いない。 彼女は2013年に通算1,000勝を達成したトップジョッキー、 2013年はニュージーランド第3位、 2014年はシンガポールを主戦場に活躍している。 今回も来日するなり、新潟のビッグレース 「新潟大賞典」で気性の荒いナカヤマナイトに騎乗した。 誰もが軽んじて見ていた13番人気のナカヤマナイトは 直線鋭く伸びて2着に入りアット言わせた。 (4番がリサ騎乗のナカヤマナイト、2着) 本日は残念ながら馬に恵まれず 目立った活躍は見られなかったが 騎乗フォームは安定かつ綺麗で流石南の国の手練者を思わせた。 彼女は今や40歳で2児の母、 7月初旬には家族も来日するとの事、 あと1ヵ月半の滞在中にアット言わせる活躍が見られると思う。
by shige_keura
| 2015-06-20 20:39
| スポーツ
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