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白眉の舞台
12月5日、見上げる空は雲ひとつない
冬晴れの日の国立劇場前である。
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今日の演目は「番町皿屋敷」、「牡丹灯籠」と並ぶ
日本怪談三大噺のひとつ「四谷怪談」である。
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「怪談は夏と決まっているだろう!
 なんで、わざわざ真冬のこの時期に??」。

こんな声が聞こえてきそうであるが、
これには訳がある。

作者の江戸時代の著名な歌舞伎狂言作者,鶴屋南北は
このお話しを12月に起こった大事件と関わり合いを持たせ,
歌舞伎としての演題を「東海道四谷怪談」としている。
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それでは、鶴屋南北が取り上げた12月に起きた大事件とは何だろうか?

それは、本日の国立劇場内に、
その趣向が取り入れられている。

舞台に向かって客席の両側の壁の模様が
いつもと違って雁木に描かれている。
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更には劇場内では、このようなお土産の飴まで売られている。
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12月~雁木模様~本懐とくれば、
これは「忠臣蔵」に決まっている。

雁木模様は主君の仇を討つために討ち入った
四十七士の装束に描かれているお馴染みのものだ。
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南北が書き上げた狂言が最初に演ぜられた文政8年(1825)、
場所は江戸の中村座なのだが、
その時、お芝居は「仮名手本忠臣蔵」と合わせて2日がかりで行われた。

具体的には1日目が忠臣蔵の6段目までと四谷怪談の3幕目まで、
2日目が忠臣蔵の7段目以降、四谷怪談の3幕目以降、
そして、大詰めの四十七士の討ち入りと繋がっていく。






本日の公演は「通し狂言」、序幕から大詰めまで3幕10場、
正味3時間45分にも上る大作である。
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出演は松本幸四郎と市川染五郎の親子共演。

父が23年ぶりに色悪、民谷伊右衛門に扮し、
凄みと不気味さを織り交ぜた極悪人を演ずる。

一方の染五郎は悲劇のヒロイン、お岩をはじめ5役の掛けもちを
息もつかせぬ早変わりを盛り込んで魅力たっぷりに演じる。

本年の国立劇場通いは10月から始まって、今回で3度目となる。

10月の中村梅玉、11月の中村吉右衛門と
2か月続けて期待外れを味わってきたのが、今回で一掃された。

いや、今まで見た歌舞伎の中では白眉と言っても良いと思う。

幸四郎と吉右衛門の兄弟、こと歌舞伎に限定すれば
現在は、兄の安定感が断然弟を上回っているように感じる。

市川染五郎も舞台上で父と並ぶと、
若干の線の細さは拭えぬが
着実な進化は目を見張るものがあり、
今や歌舞伎界を背負う自他ともに許す存在となっている。

更に今回の舞台で最も素晴らしいのは
お馴染みの見せ場に散りばめられた
「あっと」驚く仕掛けの趣向だ。
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お芝居の見せ場であるお岩の髪漉き、
そして、現れる髪の抜け落ちたお岩の顔には・・・・・。

川を流れる戸板の上に載った死体の早変わり、
亡霊となったお岩の宙乗り、等々がうす暗い舞台上で
時には人魂が彷徨うなかで、おどろおどろしく展開される。
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それが大詰めの討ち入りの場面で一挙に転換、
清々しさこの上もなくお芝居は大団円を迎える。
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拍手喝采、高麗屋!(幸四郎・染五郎)の掛け声が飛び交う
年の瀬の素晴らしいお芝居だった。
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by shige_keura | 2015-12-15 07:42 |
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