ストラスブルグから南下すると
ほどなくアルザスのワイン街道が始まる。 最初の町、オベルネを通り過ぎると 鬱蒼とした杉林に囲まれた山道に入る。 右に左に勾配のきつい坂道を15分、 標高730メートルの山頂に 聖女、オディールが初代院長を務めた 堂々たるサン・オディール修道院の姿が目に入ってくる。 切り立った断崖の上に立つ姿は 修道院というよりか難攻不落の城砦を思わせる。 それもそのはず、この修道院 元はといえば、ホッヘンブルグという名前のお城だったのだ。 それでは、何故、お城が修道院に変わったか?? それには次の、「聖女オディール」の物語がある。 今を去る事、約1300年前、 オディールは山のふもとの町、 オベルネ村の領主アルザス公、アダルリクの娘として生まれた。 跡継ぎが欲しかった領主は 女の赤ちゃんの誕生にがっかりし 更に、この子が先天的に目が見えない事を知ると 家系の恥辱とばかり、殺す事を命じてしまう。 驚いた母親はオディールを密かに ジュラ地方の修道院にかくまう。 ここで成長した彼女が12歳の時、奇跡は起こる。 オディールの洗礼名を授かっての儀式中 突如、彼女の目は見える様になったのである。 そして、オディールの洗礼名は 「神の光」の意味であった。 キリスト教徒として一生、 神に身を奉げるとの固い決意に父は折れ ホッヘンブルグの城を修道院として改築し オディールはそこの初代院長となった。 以来、目の不自由な人を初めとする 巡礼者の数はひきもきらず 立派な宿泊施設、療養所も完成し 今日に至っているという。 夏の陽を一杯に浴びたアルザスの葡萄畑 まもなく訪れる秋の収穫、 守護神オディールの像はそれを 優しく見守っているかのようである。
by shige_keura
| 2007-09-26 22:10
| 旅
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